犬の腎臓病にさつまいもは大丈夫?獣医師が数値で解説

犬の腎臓病

※本記事はプロモーションを含みます

「うちの子、さつまいもが大好きなのに、腎臓病になったらもうあげちゃダメなの?」
そんな思いでこのページにたどり着いた方が多いと思います。


結論からお伝えすると、腎臓病の犬には、さつまいもは控えることをおすすめします


大好きだったおやつをやめさせるのはつらい決断ですが、これにははっきりした数値の根拠があります。
この記事では、現役獣医師のDr.サクが、さつまいもが腎臓病の犬に向かない理由を数値で示し、「代わりに何をあげられるか」までセットで解説します。


数値は文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)にもとづいています。
なお、これは腎臓病の犬に限った話で、健康な犬であればさつまいもは問題のない食材です。

この記事の著者・監修者:Dr.サク(臨床10年以上)
現役の獣医師、都内動物病院に勤務。腎臓病を中心に、食事療法で数多くの犬の健康寿命を延ばしてきた実績を持つ。専門的な医学的知見に基づき、愛犬に本当に必要なフードを厳選しています。

【結論】腎臓病の犬にさつまいもは控えてください

さつまいもには、カリウムが100gあたり480mg含まれています。
これは野菜・いも類の中でもかなり高い数値で、腎臓病の犬では「控えたい」と判断されるレベルです。


腎臓病になると、カリウムを尿へ排泄する力が落ち、血液中にたまりやすくなります。
高カリウム血症が進むと、不整脈など心臓への影響につながるおそれがあります。
だからこそ、腎臓病用の療法食はカリウムを抑えて設計されています。
そこにカリウムの多いさつまいもを足すと、療法食の設計を崩してしまうのです。

「昨日まで喜んで食べていたのに」という気持ちは、痛いほど分かります。
でも、おやつの楽しみそのものを諦める必要はありません。
この記事の後半で、さつまいもの代わりに安心してあげられるおやつを紹介します。
まずは「なぜ控えるべきか」を、数値で確認していきましょう。

さつまいもが腎臓病の犬に向かない3つの理由

理由①:カリウムが480mg──腎臓が排泄しきれない

さつまいものカリウムは生の状態で480mg/100gです。
比較すると、キャベツは190mg、もやしは79mgですから、その高さが分かります。
健康な腎臓なら余分なカリウムは尿として出ていきますが、腎臓病ではこの排泄がうまくいきません。
行き場を失ったカリウムは血液中にたまり、心臓の働きに影響する「高カリウム血症」のリスクを高めます。
心臓は筋肉の塊であり、筋肉の収縮を司るカリウムの異常に敏感だからです。
やっかいなのは、カリウムがたまっても、見た目には分かりにくいことです。
ぐったりする、脈が乱れるといった変化が出たときには、すでに進んでいることもあります。
だからこそ「症状がないから大丈夫」ではなく、入り口である食事の段階で量を管理することが大切なのです。
腎臓病用の療法食は、このカリウムを計算ずくで抑えています。
療法食をきちんと食べているのに、おやつのさつまいもでカリウムを上乗せしてしまったら、せっかくの設計が台無しになってしまいます。

理由②:蒸しても焼いても減らない──「加熱すればOK」は通用しない

ここが、多くの飼い主さんが誤解しているポイントです。
野菜のカリウムは「茹でこぼし」で減らせる、という話を聞いたことがあるかもしれません。
それ自体は正しく、たとえば小松菜は茹でこぼしでカリウムが約7割減ります。
ところが、さつまいもの定番の調理法である蒸し・焼きでは、カリウムはほとんど減りません
成分表の数値で見ると、生480mgに対して、蒸しても480mgのまま。
焼き芋にいたっては、水分が飛んで濃縮されるため540mgと、むしろ増えます。
カリウムは「水に溶け出す」ことで減るミネラルです。
蒸す・焼くという調理は水に触れないため、カリウムがそのまま残ってしまうのです。
「ふかし芋にしてあげれば大丈夫」は、腎臓病では通用しないと覚えてください。

理由③:干し芋は約2倍に濃縮──980mg/100g

「干し芋を小さくちぎって、ちょっとだけ」という与え方をしている家庭も多いと思います。
実はこれが一番危険です。
干し芋は乾燥で水分が抜けるぶん、カリウムが100gあたり約980mgまで濃縮されます。
生のさつまいもの約2倍です。
同じ「ひとくち」でも、干し芋は生よりずっと多くのカリウムを摂ることになります。
さらにさつまいもには、シュウ酸(結石の材料になりうる成分)も中程度含まれており、尿路に不安のある子では二重に気をつけたい食材です。

形態カリウム(mg/100g)
さつまいも(生)480
さつまいも(蒸し)480
焼き芋540
干し芋(蒸し切干)約980

健康な犬にとっては優秀なおやつ──だからこそ誤解されやすい

誤解のないように強調しておくと、さつまいもは健康な犬にとっては良い食材です。
食物繊維が豊富でお腹の調子を整え、脂肪が少なく、自然な甘みで嗜好性も抜群。
だからこそ犬のおやつの定番であり、「体にいいもの」というイメージが定着しています。
問題は、そのイメージのまま腎臓病になっても続けてしまうことです。
健康な犬には良いものが、腎臓病の犬には負担になる。


このギャップこそが、さつまいもで一番気をつけてほしいポイントです。
ご家族に「ちょっとだけならいいでしょ」とあげてしまう人がいたら、この記事を見せてあげてください。
腎臓病の食事管理は、家族全員が同じルールを守れるかどうかで結果が変わります。
「お父さんだけがこっそりあげていた」というケースは、診察室でも本当によく聞く話です。
さつまいもは台所に常備されがちな食材だからこそ、家族での共有が欠かせません。

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さつまいもの代わりにあげられるおやつ

ここからが本題です。
さつまいもをやめても、おやつの時間そのものをやめる必要はありません。
カリウムの低い野菜を選べば、「あげる楽しみ」「もらう喜び」は続けられます。

代わりの野菜カリウム(mg/100g)与え方
もやし79柔らかく茹でて刻む
キャベツ190(茹で92)茹でて細かく
ピーマン190加熱して少量
きゅうり200薄切りでそのまま少量

さつまいもの480mgと比べると、いずれも大幅に低いことが分かります。
特にきゅうりは、シャリッとした食感で「おやつ感」があり、さつまいも卒業後の置き換えとして人気です。
切り替えのコツは、「あげる場面」を変えないことです。
散歩のあと、お留守番のごほうび、家族のおやつタイム──さつまいもをあげていたのと同じタイミングで、同じように声をかけながら新しいおやつをあげてください。


犬にとってのおやつの喜びは、食べ物そのものと同じくらい、「もらえる時間と飼い主さんの笑顔」にあります。
甘みが恋しそうなら、療法食のふやかしを団子にする、ウェットタイプの療法食を少量おやつ代わりにする、という方法もあります。
ほかの野菜の○△×は、一覧表つきの野菜まとめ記事で確認できます。

与える量は、おやつ・トッピング全体で「1日に必要なカロリーの1割まで」が一般的な目安です。
ただし適切な量は体重やステージで変わるため、具体的には主治医に相談してください。

また、「おやつより、まず療法食をちゃんと食べてくれない」という悩みがある場合は、食いつきに配慮した腎臓ケアの食事療法食を検討するのも一つの方法です。

よくある質問

Q. ひとかけら(少量)でもダメですか?
A. 一律に「絶対ダメ」とまでは言いません。
ただ、さつまいもはカリウムが高いうえ、蒸しても焼いても減らないため、「少量なら安全」と言える根拠が乏しい食材です。
血液検査のカリウム値を把握している主治医に、お家の子の場合どうかを確認してください。

Q. さつまいもチップスやさつまいもジャーキーは?
A. おすすめしません。
干し芋と同じく、乾燥・加工でカリウムが濃縮されている可能性が高いためです。
市販のさつまいも系おやつは、腎臓病の子には選ばないのが安心です。

Q. 腎臓病のステージが軽い(ステージ2など)なら大丈夫?
A. ステージが軽いうちは食事の自由度が比較的ありますが、さつまいもはカリウム480mgと高いため、ステージにかかわらず基本は控えるのが安心です。
「どうしても」という場合は、検査数値を見ている主治医に相談したうえで判断してください。

Q. 皮だけなら、あるいは皮をむけば大丈夫?
A. カリウムは皮だけでなく実全体に含まれているため、皮をむいても解決にはなりません。
「部位を工夫すれば大丈夫」という食材ではないとお考えください。

まとめ──代わりのおやつで、笑顔は続けられます

腎臓病の犬にさつまいもを控えるべき理由を、数値で整理しました。

  • カリウムが480mg/100gと高く、腎臓病では排泄しきれない
  • 蒸しても焼いてもカリウムは減らない(水に触れない調理法では溶け出さない)
  • 干し芋は約980mgと、生の約2倍に濃縮されている
  • 健康な犬には良い食材だからこそ、「体にいいから」と続けてしまいやすい

大好きなおやつをやめさせるのは、飼い主さんにとってもつらいことです。
でも、もやしやきゅうりなど、カリウムの低い野菜に置き換えれば、おやつの時間の楽しみは続けられます。
さつまいもをやめることは、愛犬の腎臓を守るための、確かな一歩です。
迷うことがあれば、自己判断せず、かかりつけの主治医に相談してください。

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