犬の膵炎の余命と再発率|寿命を延ばすための食事とケア【獣医師解説】

犬の膵炎の余命と再発率|寿命を延ばすための食事とケア【獣医師解説】 犬の膵炎

「愛犬が膵炎と診断された時、『もうダメだ』と絶望していませんか?」

「余命はどれくらいですか?」——診察室で、震える声でそう尋ねる飼い主さんを、私は何度も見てきました。

こんにちは、臨床経験10年以上の獣医師・Dr.サクです。

獣医師として、はっきりとお伝えします。

膵炎は、確かに「完治しない」病気です。でも、「一生付き合える」病気でもあります。

膵炎と診断されたからといって、愛犬の命が明日終わるわけではありません。

私の病院には、膵炎と診断されてから5年、7年、10年と元気に過ごしている子がたくさんいます。

その子たちと、再発を繰り返して苦しむ子——何が違うのか?

答えは、「食事管理」です。

この記事では、獣医師として、

  • 膵炎の「余命」を決める3つの鍵
  • なぜ再発率が高いのか、どうすれば防げるのか
  • 急性と慢性の違い、そして「長生きの秘訣」
  • 再発を防ぐための「究極の食事療法」

すべて、包み隠さずお伝えします。

愛犬の膵臓は、あなたの愛情で守れます。

今日から、一緒に始めましょう。

この記事の著者・監修者:Dr.サク(臨床10年以上)
現役の獣医師、都内動物病院に勤務。腎臓病を中心に、食事療法で数多くの犬の健康寿命を延ばしてきた実績を持つ。専門的な医学的知見に基づき、愛犬に本当に必要なフードを厳選しています。


  1. 犬の膵炎の「余命」は、こうして決まる──獣医師が語る3つの鍵
    1. ①重症度:軽症 vs 重症で、予後は180度変わる
    2. ②治療への反応:早期発見・早期治療が命を救う
    3. ③「食事管理」の継続率:これが一番重要
  2. 「再発率」はなぜこんなに高いのか?──繰り返さないための秘訣
    1. 膵臓は「一度傷つくと、弱くなる」臓器
    2. 再発の最大の原因:誤った食事
    3. 再発を防ぐための「3つの鉄則」
  3. 獣医師が知る「急性」と「慢性」の境界線
    1. 急性膵炎:突然の激痛と嘔吐
    2. 慢性膵炎:静かに進行する「見えない敵」
    3. 「再発予防」の鍵は、急性期を乗り越えた後の「地道なケア」
  4. 【最重要】再発を防ぐための「究極の食事療法」
    1. 基本:「低脂肪・高消化」が絶対条件
    2. 獣医師が推奨する「療法食」
    3. 「手作り食」のリスクと、安全な代替案
    4. 「和漢みらい」が再発予防に最強な理由
  5. 「もう治らない」は、本当か?──獣医師が伝えたい希望
    1. 「完治しない」≠「もうダメ」
    2. 「適切な管理で、元気に長生きする子はたくさんいる」
    3. 「余命」ではなく、「これからの時間」を考えよう
  6. 【Q&A】よくある質問に獣医師が回答
    1. Q1. 膵炎と診断されたら、余命はどれくらいですか?
    2. Q2. 再発を繰り返すと、寿命は短くなりますか?
    3. Q3. 膵炎は完治しますか?
    4. Q4. 慢性膵炎になると、もう治りませんか?
    5. Q5. 膵炎の犬に、おやつは一生あげられませんか?
  7. まとめ:愛犬の膵臓は、あなたの愛情で守れる

犬の膵炎の「余命」は、こうして決まる──獣医師が語る3つの鍵

「膵炎と診断されたら、どれくらい生きられますか?」

これは、飼い主さんが最も知りたいことだと思います。

でも、獣医師として正直に言うと、「余命」は一概には言えません。なぜなら、以下の3つの要素によって、大きく変わるからです。

①重症度:軽症 vs 重症で、予後は180度変わる

膵炎には、「軽症」と「重症」があります。

【軽症の急性膵炎】

  • 嘔吐や食欲不振が数日続く程度
  • 早期治療(点滴・絶食)で、1週間以内に回復することが多い
  • 予後は良好。適切な食事管理で、長生きできる

【重症の急性膵炎】

  • 激しい嘔吐、激痛、ショック状態
  • 膵臓の自己消化が進み、周囲の臓器にもダメージ
  • 多臓器不全、DIC(播種性血管内凝固症候群)に進行することも
  • 入院治療が必要。死亡率は10-20%程度

つまり、「膵炎」というだけでは、余命は分かりません。重症度によって、まったく違う病気のように予後が変わるのです。

②治療への反応:早期発見・早期治療が命を救う

同じ重症度でも、「どれだけ早く病院に連れて行ったか」で、予後は大きく変わります。

【早期発見・早期治療できた場合】

  • 膵臓のダメージが最小限で済む
  • 炎症を早く鎮められる
  • 慢性化のリスクが低い
  • → 長生きできる可能性が高い

【発見が遅れた場合】

  • 膵臓が広範囲にダメージを受ける
  • 慢性膵炎に移行しやすい
  • 他の臓器(肝臓、腎臓)にも影響
  • → 再発を繰り返し、寿命が短くなる

診察室で、こんなケースを何度も見てきました。

「3日前から吐いていたけど、様子を見ていました…」

その3日が、命を左右することもあるのです。

「祈りのポーズ」「震え」「嘔吐」があったら、すぐに病院へ。

これが、余命を延ばす第一歩です。

③「食事管理」の継続率:これが一番重要

ここが、最も重要です。

獣医師として、10年以上の臨床経験から断言します。

膵炎の犬の寿命を決めるのは、「退院後の食事管理」です。

急性期を乗り越えた後、

  • Aさん:徹底的に低脂肪食を続けた → 5年以上再発なし
  • Bさん:「元気になったから」と普通のフードに戻した → 3ヶ月後に再発

この差が、寿命を決めます。

「膵炎は治らない」のではなく、「食事管理を続けられない人が多い」——これが、獣医師が見てきた現実です。


「再発率」はなぜこんなに高いのか?──繰り返さないための秘訣

膵炎の最大の敵は、「再発」です。

統計によると、急性膵炎を経験した犬の約30-50%が、再発します

なぜ、こんなに再発率が高いのか?

膵臓は「一度傷つくと、弱くなる」臓器

膵炎を一度経験すると、膵臓の細胞が破壊され、線維化(硬くなる)します。

すると、わずかな刺激でも、再び炎症を起こしやすい「過敏な状態」になります。

例えるなら、「一度ひどい火傷を負った皮膚は、その後も弱くなる」のと同じです。

再発の最大の原因:誤った食事

再発を引き起こす最大の原因が、「高脂肪食」です。

具体的には:

  • 退院後、「元気になったから」と普通のフードに戻す
  • おやつ(ジャーキー、チーズ等)を解禁する
  • 人間の食べ物を「ちょっとだけ」与える
  • 家族の誰か(特におじいちゃん・おばあちゃん)がこっそり食べさせる

「少しくらい大丈夫」——その一口が、再発のスイッチを押します。

再発を防ぐための「3つの鉄則」

獣医師として、再発を防ぐために絶対に守ってほしいのが、以下の3つです。

①低脂肪食(乾物重量10%以下)を一生続ける

  • 「治ったから普通のフードに戻す」は絶対にNG
  • 一度膵炎になったら、一生低脂肪食が基本

②体重管理を徹底する(肥満は再発のリスク因子)

  • 肥満は、膵炎の最大のリスク
  • 適正体重を維持することが、再発予防の基本

③定期的な血液検査(3-6ヶ月に1回)

  • 症状がなくても、cPL(膵臓の炎症マーカー)をチェック
  • 早期発見が、重症化を防ぐ

この3つを守れば、再発率は劇的に下がります。


獣医師が知る「急性」と「慢性」の境界線

膵炎には、「急性膵炎」と「慢性膵炎」があります。

急性膵炎:突然の激痛と嘔吐

【症状】

  • 突然、激しい嘔吐
  • 祈りのポーズ(お腹が痛くて床につけられない)
  • 震え、ぐったりする
  • 発熱

【治療】

  • 絶食・絶水(24-48時間)
  • 点滴(静脈輸液)
  • 痛み止め、制吐剤

【予後】

  • 軽症なら、1週間程度で回復
  • 重症の場合、入院が必要

慢性膵炎:静かに進行する「見えない敵」

【症状】

  • 症状が軽微(時々の嘔吐、軟便、食欲不振)
  • 「ちょっと調子が悪い」程度で、飼い主が気づかないことも

【問題点】

  • 膵臓が徐々にダメージを受け、線維化(硬くなる)
  • 消化酵素の分泌が減り、「膵外分泌不全」に
  • 糖尿病を併発することも

【予後】

  • 適切な食事管理をしないと、徐々に悪化
  • 急性膵炎を繰り返し、慢性化する

「再発予防」の鍵は、急性期を乗り越えた後の「地道なケア」

多くの飼い主さんが誤解しているのが、「急性期を乗り越えたら、もう大丈夫」という考えです。

実は、急性期を乗り越えた後の「維持期」こそが、一番大切なのです。

なぜなら、この時期の食事管理が、

  • 慢性化するか
  • 再発を繰り返すか
  • 長生きできるか

すべてを決めるからです。

「治った」ではなく、「これから一生付き合う」——この意識が、愛犬の命を守ります。


【最重要】再発を防ぐための「究極の食事療法」

ここまで読んで、こう思ったかもしれません。

「具体的に、どんな食事を与えればいいの?」

獣医師として、推奨する食事療法は以下の通りです。

基本:「低脂肪・高消化」が絶対条件

【低脂肪】

  • 乾物重量で脂肪分10%以下、理想は5-8%
  • 「袋の裏の%」ではなく、「乾物重量」で計算する

【高消化】

  • 膵炎の犬は消化機能が弱っている
  • 消化しやすい原材料(鶏肉、鹿肉、白身魚等)を選ぶ

獣医師が推奨する「療法食」

【急性期・再発予防】

  • ロイヤルカナン消化器サポート(低脂肪)
  • 和漢みらい(膵臓・肝臓用)

【維持期・予防】

  • うまか(UMAKA)
  • Yum Yum Yum!

詳しい選び方は、以下の記事で解説しています:

獣医師が厳選「低脂肪ドッグフードおすすめランキング」

「手作り食」のリスクと、安全な代替案

「療法食を食べないから、手作りしてあげたい」

その気持ち、本当によく分かります。

でも、獣医師として警告します。

膵炎の手作り食は、極めて危険です。

理由は:

  • 「隠れ脂質」の計算が不可能に近い
  • 栄養バランスが崩れ、別の病気を招く
  • 「ささみなら大丈夫」という誤解が、再発を引き起こす

詳しくは、以下の記事で解説しています

獣医師が語る「膵炎の手作り食」の危険性と安全な代替案

「和漢みらい」が再発予防に最強な理由

特に、私が再発を繰り返す子に強く推奨しているのが、「和漢みらいのドッグフード(膵臓・肝臓用)」です。

【理由】

  • 脂質約5-6%と、最も低脂肪
  • 89種類の和漢植物で、「炎症体質」そのものを改善
  • 鹿肉ベースで高消化・低アレルゲン
  • 腸内環境を整え、免疫バランスを調整

普通の療法食は「対症療法(今の炎症を抑える)」ですが、和漢みらいは「根本治療(炎症を起こしにくい体質に変える)」を目指しています。

実際、私の病院で、和漢みらいに切り替えてから1年以上再発していない子が何頭もいます。

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「もう治らない」は、本当か?──獣医師が伝えたい希望

「膵炎は治らない病気です」

獣医師からそう言われた時、あなたは絶望したかもしれません。

でも、「治らない」の本当の意味を知ってください。

「完治しない」≠「もうダメ」

獣医師が「治らない」と言う時、それは、

「膵臓が完全に元通りになることはない」

という意味です。

でも、「一生付き合えない」という意味ではありません。

「適切な管理で、元気に長生きする子はたくさんいる」

私の病院には、膵炎と診断されてから、

  • 5年、7年、10年と元気に過ごしている子
  • 再発なく、シニア期まで幸せに暮らしている子

がたくさんいます。

その子たちに共通しているのは、

  • 低脂肪食を一生続けている
  • 適正体重を維持している
  • 定期的に血液検査をしている

たったこれだけです。

「膵炎は不治の病」ではなく、「一生付き合える病気」です。

「余命」ではなく、「これからの時間」を考えよう

「余命」という言葉は、まるで「残された時間」のように聞こえます。

でも、獣医師として、私はこう伝えたい。

「余命」ではなく、「これから一緒に過ごせる時間」を、どう豊かにするか——それを考えましょう。

膵炎と診断されても、

  • 散歩を楽しみ
  • 飼い主さんに甘え
  • 美味しいごはんを食べ
  • 幸せに過ごす

ことは、十分に可能です。

あなたの愛情と、正しい食事管理があれば、愛犬は幸せに長生きできます。


【Q&A】よくある質問に獣医師が回答

Q1. 膵炎と診断されたら、余命はどれくらいですか?

A. 一概には言えません。軽症の急性膵炎で、適切な食事管理を続ければ、10年以上生きることも珍しくありません。重症の場合や、再発を繰り返す場合は、数年で亡くなることもあります。

Q2. 再発を繰り返すと、寿命は短くなりますか?

A. はい。再発を繰り返すと、膵臓のダメージが蓄積し、慢性膵炎に移行します。すると、消化機能の低下や糖尿病を併発し、寿命が短くなります。

Q3. 膵炎は完治しますか?

A. 「完治」はしません。一度ダメージを受けた膵臓は、元通りにはなりません。ただし、「コントロール」することは可能です。適切な食事管理で、再発を防ぎ、長生きできます。

Q4. 慢性膵炎になると、もう治りませんか?

A. 慢性膵炎は、膵臓が線維化し、機能が徐々に失われます。「完治」はしませんが、低脂肪食と消化酵素のサプリメントで、症状をコントロールし、QOL(生活の質)を維持できます。

Q5. 膵炎の犬に、おやつは一生あげられませんか?

A. 市販の高脂肪おやつはNGです。ただし、茹でたささみ(極少量)や、膵炎対応の低脂肪おやつなら可能です。詳しくは獣医師に相談してください。


まとめ:愛犬の膵臓は、あなたの愛情で守れる

膵炎と診断された時、あなたは絶望したかもしれません。

でも、獣医師として、はっきりとお伝えします。

膵炎は、諦める病気ではありません。

適切な食事管理と、定期的なチェックで、愛犬は幸せに長生きできます。

私の病院で、膵炎と診断されてから10年以上元気に過ごしている子たちは、

  • 特別な治療を受けたわけではありません
  • ただ、飼い主さんが「低脂肪食」を徹底しただけです

それだけで、再発を防ぎ、長生きできるのです。

【今日からできること】

  1. 低脂肪療法食(ロイヤルカナン、和漢みらい等)に切り替える
  2. 人間の食べ物を絶対に与えない(家族全員で徹底)
  3. 体重を適正に保つ
  4. 3-6ヶ月に1回、血液検査でcPLをチェック

これだけです。

あなたの愛情と、正しい知識があれば、愛犬の膵臓は守れます。

「余命」ではなく、「これから一緒に過ごせる時間」を、豊かにしていきましょう。

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