犬の膵炎の新薬ブレンダZ|効果・副作用・費用と「効かない」とき

犬の膵炎の新薬ブレンダZ|効果・副作用・費用と「効かない」とき 犬の膵炎

「急に何も食べなくなって、嘔吐と下痢が止まらない」――

そんな愛犬の異変に気づいて動物病院へ駆け込んだら、膵炎と診断され、そのまま入院になった。

獣医師から「ブレンダZという注射薬を使います」と説明を受けたものの、聞き慣れない薬の名前に不安を感じている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

ブレンダZは2018年に登場した、犬の急性膵炎に対して世界で初めて承認された治療薬です。ただし「これさえ使えば必ず治る特効薬」ではなく、効果にも限界があります。

本記事では、ブレンダZの作用のしくみ、期待できる効果とその限界、添付文書に基づく副作用・使用上の注意、費用の目安、そして「効かない」と感じたときに考えられる理由まで、飼い主さんが冷静に判断するためのポイントを整理します。

この記事の著者・監修者:Dr.サク(臨床10年以上)
現役の獣医師、都内動物病院に勤務。腎臓病を中心に、食事療法で数多くの犬の健康寿命を延ばしてきた実績を持つ。専門的な医学的知見に基づき、愛犬に本当に必要なフードを厳選しています。


  1. ブレンダZとはどんな薬か
    1. 飲み薬ではなく病院で投与する注射薬
      1. 要指示・指定医薬品という位置づけ
      2. 膵炎「急性期」専用の薬である
        1. 慢性膵炎の維持薬ではない
          1. 急性期とはどの段階を指すか(具体例)
    2. 2018年登場、犬の膵炎で世界初の承認薬
      1. それ以前の膵炎治療(対症療法のみ)
  2. ブレンダZの効果と作用のしくみ
    1. 膵臓の炎症を鎮めるしくみ
      1. 白血球の働き(LFA-1活性化)を抑える
        1. 炎症が広がる流れと、どこを止めるか
      2. 効果が出るまでの目安と投与スケジュール
    2. 既存治療に「加える」薬という立ち位置
      1. 輸液療法が依然として治療の基本
      2. あくまで「補助薬」という現在地
  3. ブレンダZが「効かない」と感じるとき
    1. 効かないように見える主な理由
      1. 重症度・併発疾患・投与タイミング
      2. 中止するとぶり返すパターン
      3. 薬だけでは助からないケースがある現実
        1. 膵炎の予後と死亡リスク
          1. 飼い主が抱えやすい後悔への向き合い方
  4. 改善しないときに考えるべきこと
    1. 本当に膵炎か? 鑑別診断の重要性
    2. セカンドオピニオンを検討するタイミング
    3. ブレンダZ以外の治療選択肢
    4. 効果はどう判定するか
  5. ブレンダZの副作用と使用上の注意
    1. 臨床試験で報告された有害事象
      1. 投与してはいけない・安全性が確認されていない犬
      2. 投与の可否を慎重に判断すべき犬
        1. 気づいたとき飼い主がすべき行動
    2. 併用に注意が必要な薬
  6. ブレンダZの費用の目安
    1. ブレンダZの薬剤費は単独では請求されない
    2. 急性膵炎の入院治療費の目安
    3. ペット保険で膵炎治療は補償されるか
  7. よくある質問
  8. まとめ|ブレンダZは急性期の選択肢、判断は主治医と

ブレンダZとはどんな薬か

飲み薬ではなく病院で投与する注射薬

ブレンダZは、自宅で飼い主さんが飲ませるタイプの薬ではありません。動物病院で獣医師が静脈内に投与する注射剤です。入院中に投与されるのが一般的で、飼い主さんが薬局やネット通販で購入して与えるものではないという点を、まず押さえておきましょう。

要指示・指定医薬品という位置づけ

ブレンダZは「要指示医薬品」「指定医薬品」に分類されています。これは獣医師の処方箋や指示がなければ使用できないという枠組みです。人間でいえば処方箋が必要な医療用医薬品に近い位置づけで、獣医師が症状や検査結果を総合的に判断したうえで投与を決定します。飼い主さんの判断で投与の可否を決められるものではなく、あくまで獣医師の管理下で使われる薬です。

膵炎「急性期」専用の薬である

ブレンダZの承認された効能は「犬の膵炎急性期における臨床症状の改善」です。つまり、膵炎が急激に悪化している「急性期」に使う薬であり、症状が落ち着いた後の長期管理や再発予防に継続して使うものではありません。添付文書でも、膵炎急性期以外の症例に対する安全性・有効性は確認されていないと明記されています。

慢性膵炎の維持薬ではない

膵炎を繰り返す犬を飼っている飼い主さんのなかには、「ブレンダZを定期的に使えば再発を防げるのでは」と期待する方もいます。しかし、ブレンダZは慢性膵炎の維持療法や再発予防のための薬ではありません。あくまで急性期の炎症を抑える目的で開発されたものです。再発予防には、食事管理や定期的な健康診断など、別のアプローチが必要になります。

急性期とはどの段階を指すか(具体例)

「急性期」と言われても、具体的にどの段階なのかイメージしにくいかもしれません。たとえば、前日まで元気だった犬が突然激しく嘔吐を繰り返し、お腹を痛がる姿勢(祈りのポーズ)をとり、ぐったりして水も飲めなくなった――こうした症状が急激に現れた段階が典型的な急性期です。血液検査でリパーゼなどの数値が急上昇しているケースが多く、獣医師はこれらの検査結果と臨床症状を合わせて「急性膵炎」と診断し、ブレンダZの投与を検討します。<!– 内部リンク挿入予定: 「リパーゼ」記事(犬の膵炎でリパーゼが高い・1000は危険?)へ –>

2018年登場、犬の膵炎で世界初の承認薬

ブレンダZは2018年に日本で製造販売承認を取得しました。犬の急性膵炎を適応症として承認された治療薬は、世界的に見てもブレンダZが初めてです。この「世界初」という事実は、それまで犬の膵炎に対して承認された治療薬が存在しなかったことを意味しています。

それ以前の膵炎治療(対症療法のみ)

ブレンダZが登場する以前、犬の急性膵炎の治療は対症療法が中心でした。具体的には、脱水を補正するための輸液療法(点滴)、嘔吐を抑える制吐薬、痛みを和らげる鎮痛薬の投与が柱です。

膵臓はもともと消化酵素を分泌して食べ物の消化を助ける臓器ですが、膵炎ではこの消化酵素が膵臓自身を攻撃してしまい、激しい炎症が起こります。しかし以前は、この炎症そのものに直接働きかける承認薬がなく、「痛みや脱水を抑えながら、膵臓が自力で回復するのを待つ」という治療が主流でした。

ブレンダZの登場により、対症療法に加えて炎症そのものにアプローチする選択肢が生まれたことは、犬の膵炎治療において一つの転換点といえます。


ブレンダZの効果と作用のしくみ

膵臓の炎症を鎮めるしくみ

ブレンダZがどのように膵臓の炎症を抑えるのかを理解するには、まず膵炎で何が起きているかを知る必要があります。

膵臓は本来、食べ物を消化するための消化酵素を十二指腸に送り出す臓器です。ところが何らかの原因で消化酵素が膵臓の内部で活性化してしまうと、膵臓自身の組織が消化・破壊されます。これが膵炎の出発点です。

組織が傷つくと、体は修復のために免疫細胞(白血球)を大量に動員します。白血球は炎症部位に集まって傷ついた組織を処理しようとしますが、この過程で炎症がさらに拡大してしまうことがあります。膵炎が重症化する背景には、この「白血球による過剰な炎症反応」が深く関わっています。

白血球の働き(LFA-1活性化)を抑える

ブレンダZの有効成分はフザプラジブナトリウム水和物です。この成分は、白血球の表面にあるLFA-1という分子の活性化を抑制します。LFA-1は、白血球が血管の壁にくっつき、炎症部位へ移動するために必要な「接着分子」です。

ブレンダZがLFA-1の活性化を抑えることで、白血球が過剰に膵臓へ集まるのを防ぎ、炎症の拡大にブレーキをかけます。

炎症が広がる流れと、どこを止めるか

膵炎における炎症の拡大は、おおまかに以下のような流れで進みます。

  1. 消化酵素が膵臓内で活性化し、組織を傷つける
  2. 傷ついた組織から炎症を呼ぶ信号が出る
  3. 白血球のLFA-1が活性化し、血管壁に接着する
  4. 白血球が血管の外へ出て膵臓に集まる
  5. 集まった白血球が炎症性物質を放出し、炎症がさらに広がる

ブレンダZは上記の「3」の段階、つまり白血球が血管壁にくっつく前の段階で作用します。炎症の「入り口」を抑えることで、それ以降の連鎖的な悪化を食い止める設計です。<!– 図解挿入ポイント: 消化酵素の活性化→組織損傷→白血球のLFA-1活性化→血管壁への接着→炎症拡大の流れ。ブレンダZが「LFA-1活性化」の段階を抑制することを図示。CMS入稿時にこのコメントを画像タグに差し替え –>

効果が出るまでの目安と投与スケジュール

ブレンダZの標準的な用法用量は、犬の体重1kgあたりフザプラジブナトリウム水和物0.4mgを、1日1回・5日間、静脈内に投与するというものです。1回の投与は比較的短時間で終わりますが、5日間にわたって継続する必要があるため、基本的に入院下での治療となります。

投与開始から数日で食欲が戻り始めたり、嘔吐の回数が減ったりするケースが報告されています。臨床の現場では「3日目頃から改善の兆しが見られる」という声もありますが、これはあくまで一部の症例での経過であり、すべての犬に当てはまるわけではありません。効果の出方は、膵炎の重症度、発症から投与開始までの時間、併発している他の疾患の有無、犬の年齢や体力など、さまざまな要因によって異なります。「何日目に良くなるはず」と一概には言えないため、経過については主治医から都度説明を受けるようにしましょう。

既存治療に「加える」薬という立ち位置

ブレンダZは、既存の治療を「置き換える」薬ではなく、既存の治療に「上乗せする」薬です。この点は非常に重要です。

輸液療法が依然として治療の基本

急性膵炎の治療において、輸液療法(点滴)は依然として最も基本的な治療です。膵炎の犬は嘔吐や下痢で大量の水分と電解質を失っているため、まず脱水を補正し、循環を安定させることが最優先になります。制吐薬による嘔吐のコントロール、鎮痛薬による痛みの管理も引き続き重要です。

ブレンダZは、これらの基本治療をしっかり行ったうえで、さらに炎症そのものにアプローチする「追加の一手」という位置づけです。ブレンダZを使うから点滴はしない、といった運用にはなりません。

あくまで「補助薬」という現在地

ブレンダZは犬の急性膵炎に対して承認された世界初の薬ですが、現時点では「膵炎を確実に治す特効薬」という評価が確立しているわけではありません。膵炎治療の中心はあくまで輸液療法であり、ブレンダZはそこに加える補助的な薬という位置づけです。

すべての急性膵炎に一律に使うべきものではなく、重症度や個々の犬の状態を見て獣医師が投与を判断します。軽症の膵炎であれば、輸液療法と対症療法だけで十分に回復できるケースも少なくありません。

「ブレンダZを使ってもらえなかった=手を抜かれた」ということではない、という点も知っておくと安心です。


ブレンダZが「効かない」と感じるとき

効かないように見える主な理由

ブレンダZを使っているのに愛犬の状態がなかなか改善しない、あるいは悪化しているように見える場合、飼い主さんは大きな不安を感じるはずです。しかし「効かない」ように見える背景には、いくつかの医学的な理由が考えられます。

重症度・併発疾患・投与タイミング

まず、膵炎の重症度は個体差が非常に大きい疾患です。軽度であれば対症療法だけでも回復することがありますが、重度の壊死性膵炎では膵臓の組織が広範囲に破壊されており、どの薬を使っても劇的な改善が見られにくい場合があります。

また、糖尿病や腎臓病、肝臓病などの疾患を併発している場合、治療の複雑さが増し、回復に時間がかかることがあります。膵炎そのものの治療が進んでいても、併発疾患の症状によって全体としての改善が見えにくくなることは少なくありません。

投与タイミングも関係します。発症から時間が経過し炎症が広範囲に広がった段階で投与を開始した場合と、発症初期に開始した場合では、効果の出方が異なる可能性があります。いずれにしても、「効いていないのでは」と感じた場合は自己判断せず、主治医に率直に相談することが大切です。

中止するとぶり返すパターン

ブレンダZの投与中は症状が改善に向かっていたのに、5日間の投与を終えて中止した途端に再び悪化する――こうした「投与終了後の再燃」が起こりうることも、知っておくべきポイントです。

これは、ブレンダZが炎症を「抑えている」だけで、膵臓の炎症の根本原因が解消されていないことを意味します。ブレンダZは根治薬ではなく、あくまで急性期の過剰な炎症を抑える薬です。投与終了後に症状がぶり返す場合は、炎症が持続する背景に併発疾患や慢性化の要因がないか、主治医と一緒に精査する必要があります。

薬だけでは助からないケースがある現実

ブレンダZは膵炎治療における重要な選択肢ですが、「万能薬」ではありません。

膵炎の予後と死亡リスク

犬の急性膵炎は、軽度のものから重篤なものまで幅があります。重度の急性膵炎では、全身性の炎症反応や多臓器不全に進行することがあり、集中的な治療を行っても残念ながら助からないケースがゼロではありません。こうした重症例では、ブレンダZを含めたあらゆる治療を尽くしても十分な効果が得られないことがあります。これは薬の限界というよりも、疾患そのものの重篤さによるものです。

飼い主が抱えやすい後悔への向き合い方

「もっと早く病院に連れて行っていれば」「もっと良い治療法があったのでは」――愛犬の治療がうまくいかなかったとき、飼い主さんは自分を責めてしまいがちです。

しかし、膵炎は前兆なく突然発症することも多く、発症そのものを防ぐことが難しい疾患です。

異変に気づいて病院へ連れて行った時点で、飼い主さんは愛犬のためにできる最善の行動をとっています。

気持ちの整理がつかないときは、主治医に治療経過の説明を改めて求めたり、ペットロスに対応するカウンセリングを利用したりすることも選択肢の一つです。


改善しないときに考えるべきこと

ブレンダZを含む治療を続けても改善が見られないとき、飼い主さんが検討すべきことがいくつかあります。

本当に膵炎か? 鑑別診断の重要性

膵炎の主な症状である嘔吐・腹痛・食欲不振は、膵炎以外の消化器疾患でも起こりえます。また、リパーゼの上昇も膵炎に限った現象ではなく、腎臓病や消化管の炎症が原因で高値を示すことがあります。

実際、ブレンダZの添付文書でも、画像診断で明らかな腸閉塞・異物・腹腔内腫瘤がある犬は投与の可否を慎重に判断すべき対象とされています。

これは裏を返せば、膵炎と似た症状を示す別の疾患が隠れている可能性を常に念頭に置く必要がある、ということでもあります。

ブレンダZによる治療で改善が見られないときには、「そもそも膵炎という診断が正しいかどうか」を再検討する視点が重要です。超音波検査の再実施や追加の血液検査で他の疾患を除外することが、治療の方向性を見直すきっかけになることがあります。

セカンドオピニオンを検討するタイミング

治療が長引いているとき、あるいは主治医の説明に十分納得できないときは、別の動物病院でセカンドオピニオンを受けることも選択肢の一つです。

セカンドオピニオンは主治医への不信や裏切りではありません。複数の獣医師の見解を聞くことで、診断の妥当性を確認したり、別の治療アプローチを知ったりすることができます。多くの獣医師はセカンドオピニオンに理解を示し、紹介状を書いてくれることも少なくありません。以下のような状況では、検討が有意義です。

  • 入院治療を1週間以上続けても改善傾向が見られない
  • 治療方針や今後の見通しについて十分な説明が得られていない
  • 膵炎以外の疾患の可能性が気になっている

ブレンダZ以外の治療選択肢

ブレンダZで十分な改善が得られない場合、獣医師は他の薬剤や治療アプローチを検討することがあります。どの治療を選ぶかは犬の状態や併発疾患によって異なるため、主治医と十分に話し合って決めてください。

効果はどう判定するか

ブレンダZの効果判定は、飼い主さんの体感だけでなく、客観的な指標に基づいて行われます。主な判定方法の一つが血液検査です。膵炎の指標としてよく用いられるのが膵特異的リパーゼ(Spec cPL)で、投与前後の数値の変化を追跡します。CRP(C反応性タンパク)の推移も炎症の程度を把握するうえで参考になります。

ただし、数値の改善と臨床症状の改善は必ずしも同じタイミングで現れるわけではありません。血液検査の数値は改善しているのに食欲がなかなか戻らない、あるいはその逆のケースもあります。

獣医師は、検査数値と、食欲の回復・嘔吐や下痢の改善・活動性の変化といった臨床症状の両面を総合的に見て、治療効果を判定します。飼い主さんとしては、入院中の愛犬の様子を面会時に観察し、気づいたことがあれば獣医師に伝えるようにしましょう。


ブレンダZの副作用と使用上の注意

臨床試験で報告された有害事象

ブレンダZには、人間の市販薬のように頻度付きで列挙された「副作用一覧」は添付文書に記載されていません。承認の根拠となった国内2回の臨床試験では、安全性を評価した50症例のうち、試験期間中に有害事象が認められたのは5症例でした。このうち4症例はブレンダZの投与との関連が否定され、残る1症例は膵炎の悪化または続発症の可能性が高いと判断されたものの、投与との因果関係は不明とされています。

つまり、現時点で投与に直接起因すると確定された重大な副作用は確認されていませんが、症例数が限られているため、投与中は獣医師による慎重な観察が前提となります。

投与してはいけない・安全性が確認されていない犬

添付文書では、次のような犬への使用について注意が示されています。

  • 妊娠中・授乳中の犬:安全性が確認されていないため使用しない
  • 生後3か月齢未満、または体重2.0kg未満の犬:安全性が確認されていない
  • 膵炎急性期以外の症例:安全性・有効性が確認されていない

投与の可否を慎重に判断すべき犬

以下に該当する場合、獣医師は投与の可否を慎重に判断します。

  • 画像診断で明らかな腸閉塞・異物・腹腔内腫瘤がある
  • 重度の心不全・肝不全・腎不全・重度の感染症・重度の貧血・悪性腫瘍など、生命に危険を及ぼす重篤な疾患を併発している
  • 重度の血小板減少を伴う出血傾向や多臓器不全を呈するほど膵炎が重篤
  • 1週間以内にステロイド・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)・免疫抑制剤・抗がん剤の投与、手術、輸血を受けた
気づいたとき飼い主がすべき行動

入院中にブレンダZが投与されている場合、基本的には獣医師や動物看護師が愛犬の状態を常にモニタリングしています。

それでも、面会時に普段と違う様子(過度にぐったりしている、皮膚に異常がある、呼吸が荒いなど)に気づいた場合は、遠慮なくスタッフに伝えてください。些細な変化でも、飼い主さんだからこそ気づけることがあります。

併用に注意が必要な薬

ブレンダZは血液中のタンパク質と結合しやすい性質があります。そのため、同じくタンパク結合率の高い別の薬と併用すると、互いの薬の効きや安全性に影響が出るおそれがあり、併用時には注意が必要とされています。また、心臓の働きに影響を与える薬との併用にも注意が必要とされています。

すでに他の薬を使っている場合は、必ず獣医師にすべて伝えてください。


ブレンダZの費用の目安

ブレンダZの薬剤費は単独では請求されない

費用を知りたい飼い主さんがまず理解しておくべきなのは、「ブレンダZの薬剤費だけが単独で請求されることはほぼない」という点です。

ブレンダZは入院下で投与される注射薬であり、その費用は入院費・輸液療法・血液検査・制吐薬・鎮痛薬などの費用と合算で請求されます。ネット上で「ブレンダZの価格」を調べても、市販薬のような単一の値段が出てこないのはこのためです。

急性膵炎の入院治療費の目安

ブレンダZ単体ではなく、犬の急性膵炎の治療費全体としての目安を知っておくと、心の準備に役立ちます。

犬の膵炎にかかる1頭あたりの年間診療費は、中央値が約5万7,000円、平均値が約20万円と報告されています。中央値と平均値にこれだけ差があるのは、多くは軽症〜中等度で済む一方、一部の重症例で費用が大きく膨らむためです。なお、これは2019年時点の保険請求データに基づく数字であり、最新の費用感とは差がある可能性があります。

実際の費用は、地域・病院の規模・入院日数・治療内容によって大きく変動します。費用面で不安がある場合は、次のように対応するとよいでしょう。

  • 入院前に概算を聞く:緊急入院でも、治療方針の説明時に「おおよその費用感」を確認しましょう。
  • ブレンダZ使用の有無で費用差を聞く:薬剤費の重みを把握できます。
  • 途中経過での費用更新を求める:入院が長引く場合は「ここまでの費用」と「今後の見込み」を確認しましょう。

ペット保険で膵炎治療は補償されるか

ペット保険に加入している場合、犬の膵炎は多くの保険商品で補償対象に含まれています。

ただし、ブレンダZの薬剤費が個別に補償対象かどうかは保険会社やプランによって異なるため、入院前に確認しておくことをおすすめします。

なお、膵炎は再発しやすい疾患のため、発症後に新たに保険へ加入しようとすると、膵炎が「既往歴」として補償対象外になることがあります。愛犬が健康なうちに加入を検討しておくことが、将来の費用負担の軽減につながります。


よくある質問

Q. ブレンダZは自宅で使えますか? A. 使えません。ブレンダZは動物病院で獣医師が静脈内に投与する注射剤です。自宅で飼い主さんが投与することは想定されていません。

Q. ブレンダZを使えば膵炎は完治しますか? A. ブレンダZは急性期の炎症を抑える薬であり、膵炎を「完治」させる薬ではありません。膵臓の組織がどの程度ダメージを受けたかによって回復の程度は異なります。再発を防ぐには、退院後の食事管理や定期的な検診が重要です。

Q. 治療が長引くとき、セカンドオピニオンは受けるべきですか? A. 検討する価値はあります。1週間以上の入院で改善が見られない場合や、治療方針に不安がある場合は、別の動物病院で意見を聞くことが有益です。セカンドオピニオンは主治医への不信ではなく、診断や治療の選択肢を広げるための手段です。

Q. 退院後の食事はどうすればよいですか? A. 膵炎の回復期および再発予防において、食事管理は非常に重要です。一般的には膵臓への負担を軽減するために低脂肪の食事が推奨されることが多いですが、具体的なフードの種類や量、切り替えのタイミングは愛犬の状態によって異なります。必ず主治医の指示に従ってください。自己判断での急な食事変更は症状を悪化させるおそれがあります。

Q. 膵炎は再発しますか?ブレンダZで予防できますか? A. 犬の膵炎は再発することがあります。しかし、ブレンダZは急性期の治療薬であり、再発予防を目的とした薬ではありません。再発リスクを下げるには、食事の管理、適切な体重の維持、定期的な血液検査によるモニタリングが大切です。

Q. ブレンダZ以外に膵炎の薬はありますか? A. 犬の急性膵炎に対して承認された治療薬としてはブレンダZが初めてですが、膵炎の治療はブレンダZだけで行うわけではありません。輸液療法、制吐薬、鎮痛薬など、症状に応じた複数の治療を組み合わせて行います。治療の選択肢については主治医にご相談ください。


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まとめ|ブレンダZは急性期の選択肢、判断は主治医と

ブレンダZは犬の急性膵炎において、既存の対症療法に加えて炎症そのものにアプローチできる世界初の承認薬です。

ただし万能薬ではなく、効果は重症度や個体差によって異なり、治療の中心はあくまで輸液療法です。

愛犬に膵炎の疑いがあるときは早期に動物病院を受診し、治療の選択肢について主治医としっかり話し合ってください。早期の受診と治療開始が、愛犬の回復の可能性を高めることにつながります。

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