【獣医師解説】犬が「祈りのポーズ」をしたら要注意!膵炎の初期症状と震え・嘔吐のサイン

【獣医師解説】犬が「祈りのポーズ」をしたら要注意!膵炎の初期症状と震え・嘔吐のサイン 犬の膵炎

「愛犬が前足を伸ばして、お尻を上げる変なポーズをしている…」

もしかして、今あなたの愛犬がそんな姿勢をとっていませんか?

それは可愛い「お祈り」ではありません。「膵臓が痛くてたまらない」という、命に関わるSOSです。

こんにちは、臨床経験10年以上の獣医師・Dr.サクです。

診察室で、「先生、昨日からこんなポーズをしているんですが、可愛いですよね」と笑顔で話す飼い主さん——その直後、愛犬が重度の膵炎で緊急入院になったケースを、私は何度も経験してきました。

「ただの腹痛だと思って様子を見ていたら、手遅れに…」

そんな悲劇を、一人でも減らしたい。その思いで、この記事を書いています。

この記事では、獣医師として、

  • 「祈りのポーズ」が膵炎の激痛サインである理由
  • 他にも見逃してはいけない4つの危険サイン
  • 今すぐ病院に行くべきタイミング
  • 一度なると繰り返す膵炎の「再発」を防ぐ唯一の方法

すべてお伝えします。

もし今、愛犬が「祈りのポーズ」をしているなら、この記事を読み終わったら、すぐに動物病院に連絡してください。それが、愛犬の命を救う第一歩です。

この記事の著者・監修者:Dr.サク(臨床10年以上)
現役の獣医師、都内動物病院に勤務。腎臓病を中心に、食事療法で数多くの犬の健康寿命を延ばしてきた実績を持つ。専門的な医学的知見に基づき、愛犬に本当に必要なフードを厳選しています。


  1. 【写真で解説】これが膵炎の「祈りのポーズ」です
    1. 膵炎の「祈りのポーズ」の特徴
    2. なぜこのポーズをとるのか?
    3. 「遊びのポーズ(プレイバウ)」との決定的な違い
  2. 祈りのポーズ以外に見逃してはいけない「4つの危険サイン」
    1. ①嘔吐(黄色い泡・白い泡を何度も吐く)
    2. ②震え(寒くないのにガタガタ震える)
    3. ③食欲廃絶(大好物も食べない)
    4. ④お腹を触ると怒る・キャンと鳴く
  3. 動物病院に行くべきタイミングと、やってはいけないこと
    1. 今すぐ病院に行くべき「緊急サイン」
    2. 病院に行くまでにやってはいけないこと
  4. 動物病院での検査と治療の流れ
    1. 検査①:血液検査(cPL・リパーゼ)
    2. 検査②:エコー(超音波)検査
    3. 検査③:レントゲン
    4. 治療の流れ
  5. 【重要】一度なると繰り返す?「再発」を防ぐ唯一の方法
    1. なぜ再発するのか?
    2. 再発を防ぐ唯一の方法:徹底的な脂質制限
  6. 再発予防のために、今日からできること
    1. ①体重管理(肥満は膵炎のリスク因子)
    2. ②ストレスを減らす
    3. ③誤食を徹底的に防ぐ
    4. ④定期的な血液検査
    5. ⑤家族全員で「食べさせない」を徹底
  7. こんな症状が出たら、再発の可能性|すぐに病院へ
  8. 【Q&A】よくある質問に獣医師が回答
    1. Q1. 祈りのポーズ以外に症状がない場合、様子を見ても大丈夫?
    2. Q2. 膵炎は完治しますか?
    3. Q3. 膵炎になりやすい犬種はありますか?
    4. Q4. 膵炎の予防はできますか?
    5. Q5. 膵炎になると、もうおやつは一生食べられない?
  9. まとめ:SOSに気づけるのは、飼い主さんだけです
  10. 【関連記事】

【写真で解説】これが膵炎の「祈りのポーズ」です

まず、膵炎特有の「祈りのポーズ」がどんな姿勢かを、正確に理解しましょう。

膵炎の「祈りのポーズ」の特徴

【姿勢】

  • 前足を前方に伸ばす
  • 頭を低く下げる
  • お尻(腰)を高く上げる
  • お腹を床につけない(浮かせる)

まさに「お祈り」や「伸び」をしているような姿勢です。英語では「Prayer Position(プレイヤー・ポジション)」と呼ばれます。

なぜこのポーズをとるのか?

理由は単純です。お腹が激痛で、床につけられないから。

膵炎になると、膵臓が自分自身を消化してしまう「自己消化」が起こり、腹部に激しい痛みが走ります。その痛みを少しでも和らげるために、本能的に「お腹を伸ばして、圧力を逃がす」姿勢をとるのです。

想像してみてください。自分のお腹が激痛で、どんな姿勢をとっても痛い——そんな時、人間も前かがみになったり、体を丸めたりしますよね。犬も同じです。

このポーズは、「可愛い仕草」ではなく、「痛くて我慢できない」という悲鳴なのです。

「遊びのポーズ(プレイバウ)」との決定的な違い

「でも、遊びたい時もこんなポーズをしますよね?」

その通りです。犬は、遊びに誘う時に「プレイバウ(Play Bow)」という、似た姿勢をとります。

【見分け方】

項目膵炎の祈りのポーズ遊びのプレイバウ
表情苦しそう・元気がない・目に力がない楽しそう・目がキラキラ
尻尾垂れ下がっている・丸めているブンブン振っている
持続時間何分も同じ姿勢を続けるすぐに動き出す
鳴かない、または苦しそうな声嬉しそうに吠える
食欲全く食べない元気に食べる

簡単に言えば、「楽しそうか、苦しそうか」です。

もし、愛犬の表情が辛そうで、尻尾が垂れ下がり、食欲もないなら——それは遊びではなく、膵炎の激痛サインです。


祈りのポーズ以外に見逃してはいけない「4つの危険サイン」

「祈りのポーズ」だけが膵炎のサインではありません。以下の症状が一つでもあれば、膵炎の可能性を疑ってください。

①嘔吐(黄色い泡・白い泡を何度も吐く)

膵炎の最も典型的な症状が、繰り返す嘔吐です。

  • 朝起きたら、黄色い泡(胆汁)を吐いている
  • 水を飲んでも、すぐに吐いてしまう
  • 白い泡や透明な液体を、何度も吐く

「空腹で吐いているのかな?」と軽く考えてはいけません。

膵炎の犬は、膵臓の炎症が胃や腸にも波及し、激しい吐き気に襲われます。特に、「何も食べていないのに吐く」「水も吐く」という場合、緊急性が高いです。

②震え(寒くないのにガタガタ震える)

「部屋は暖かいのに、愛犬が小刻みに震えている…」

これは、疼痛(とうつう:痛みによる震え)のサインです。

犬は痛みを隠す動物ですが、膵炎の痛みはあまりにも激しいため、我慢できずに震えてしまうのです。

  • 抱っこしても震えが止まらない
  • 毛布をかけても震えている
  • 目に怯えた表情がある

こんな時は、今すぐ病院へ

③食欲廃絶(大好物も食べない)

犬は、多少体調が悪くても食べることが多い動物です。

でも、膵炎の犬は大好きなおやつを見せても、全く興味を示しません。

これは、激痛で「食べる気力すらない」状態です。

特に、以下のような状況なら、膵炎の可能性大:

  • 昨日まで元気に食べていたのに、今朝から全く食べない
  • 水も飲まない
  • 鼻も乾いている

「1日くらい食べなくても大丈夫」と様子を見ているうちに、重症化します。

④お腹を触ると怒る・キャンと鳴く

膵臓は、胃の後ろ、お腹の上部(背中側)にあります。

膵炎になると、お腹を触られるのが激痛になります。

  • いつもは触らせてくれるのに、お腹を触ろうとすると逃げる
  • 触ったら「キャン!」と鳴いて、噛みつこうとする
  • お腹を丸めて、触らせないようにする

これは、「痛いから触らないで!」というサインです。


動物病院に行くべきタイミングと、やってはいけないこと

今すぐ病院に行くべき「緊急サイン」

以下の症状が一つでもあれば、夜間でも救急病院へ連れて行ってください

✅ 祈りのポーズ + 嘔吐
✅ 震えが止まらない
✅ ぐったりして動かない
✅ 呼吸が荒い・速い
✅ 歯茎が白い(ショック状態)

膵炎は、放置するとショック状態から多臓器不全に陥り、命を落とすこともある病気です。

「明日の朝まで様子を見よう」は、絶対にしないでください。

病院に行くまでにやってはいけないこと

無理に食べさせる・水を飲ませる
→ 嘔吐が悪化し、誤嚥性肺炎のリスクも

人間の痛み止め(ロキソニン等)を飲ませる
→ 犬には毒。絶対にNG

お腹をマッサージする
→ 炎症を悪化させる可能性

「様子を見る」
→ 最も危険。手遅れになることも

「何もしない」が、一番安全です。すぐに病院へ。


動物病院での検査と治療の流れ

病院に着いたら、どんな検査・治療が行われるのかを知っておくと、安心です。

検査①:血液検査(cPL・リパーゼ)

膵炎を診断する最も重要な検査が、cPL(犬膵特異的リパーゼ)検査です。

これは、膵臓から漏れ出た酵素を測定するもので、膵炎の確定診断に使われます。結果は20分~1時間程度で出ます。

検査②:エコー(超音波)検査

膵臓の腫れ、周囲の炎症、腹水の有無をチェックします。膵炎が進行していると、膵臓が黒く映ったり、腹水が溜まっていたりします。

検査③:レントゲン

腸閉塞や他の病気との鑑別のために撮影することもあります。

治療の流れ

膵炎に「特効薬」はありません。治療の基本は、「膵臓を休ませる」ことです。

①絶食・絶水(24~48時間)
→ 膵臓の活動を最小限にする

②点滴(静脈輸液)
→ 脱水を補正し、循環を保つ

③痛み止め(鎮痛薬)
→ 激痛を和らげる

④制吐剤
→ 嘔吐を止める

⑤抗生物質(必要に応じて)
→ 二次感染を防ぐ

重症の場合、入院が数日~1週間以上になることもあります。


【重要】一度なると繰り返す?「再発」を防ぐ唯一の方法

「無事に退院できて、良かった…」

でも、安心するのはまだ早いです。

膵炎は、一度なると繰り返しやすい病気です。

実際、私の病院でも、「3ヶ月前に膵炎で入院したばかりなのに、また…」という犬が後を絶ちません。

なぜ再発するのか?

理由は簡単です。「膵臓が一度ダメージを受けると、再び炎症を起こしやすい体質になる」からです。

そして、再発の最大の原因が、「脂肪分の多い食事」です。

退院後、「元気になったから、普通のフードに戻そう」「おやつも解禁しよう」——これが、再発への最短ルートです。

再発を防ぐ唯一の方法:徹底的な脂質制限

獣医師として、はっきり言います。

膵炎は「治ってから」が勝負です。

退院後の食事管理を徹底するかどうかで、その後の一生が変わります。

具体的には、乾物重量で脂肪分10%以下、理想は5-8%のフードに切り替える必要があります。

「でも、どんなフードを選べばいいの?」

そんなあなたのために、獣医師として本当におすすめできる低脂肪フードを厳選した記事を用意しました。

▼ 二度と痛い思いをさせないために。獣医師が厳選した「再発を防ぐ低脂肪フードランキング」はこちら

この記事では、

  • ロイヤルカナン消化器サポート(低脂肪)
  • 和漢みらい(膵臓・肝臓用)
  • うまか(UMAKA)

など、病気のステージに合わせた最適なフードを、獣医師の視点で詳しく解説しています。

今すぐチェックして、愛犬を再発から守ってください。


再発予防のために、今日からできること

食事以外にも、再発を防ぐために大切なことがあります。

①体重管理(肥満は膵炎のリスク因子)

肥満は、膵炎の最大のリスク因子です。適正体重を維持することが、再発予防の基本です。

②ストレスを減らす

ストレスは免疫を乱し、炎症を起こしやすくします。静かな環境、規則正しい生活を心がけてください。

③誤食を徹底的に防ぐ

散歩中の拾い食い、ゴミ箱あさり、人間の食べ物の盗み食い——これらが再発の引き金になります。

④定期的な血液検査

症状がなくても、3~6ヶ月に1回は血液検査でcPLをチェック。早期発見が再発防止につながります。

⑤家族全員で「食べさせない」を徹底

「おじいちゃんがこっそりおやつをあげていた」——これ、本当に多いんです。家族全員で、絶対に人の食べ物を与えないルールを徹底してください。


こんな症状が出たら、再発の可能性|すぐに病院へ

退院後も、以下の症状が出たら、すぐに病院に連絡してください:

  • 食欲が急に落ちた
  • 嘔吐(1回でも)
  • 下痢が続く
  • 元気がない
  • お腹を痛がる素振り

「前回と同じ症状だから、また膵炎かな」と自己判断せず、必ず獣医師に診てもらってください。


【Q&A】よくある質問に獣医師が回答

Q1. 祈りのポーズ以外に症状がない場合、様子を見ても大丈夫?

A. いいえ。祈りのポーズだけでも、膵炎の可能性があります。すぐに病院へ。

Q2. 膵炎は完治しますか?

A. 急性膵炎は、適切な治療で回復することもあります。ただし、再発しやすい体質になるため、「完治」というより「コントロール」していく病気です。

Q3. 膵炎になりやすい犬種はありますか?

A. ミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリア、トイプードル、ミニチュアダックスなどの小型犬、および肥満犬に多いです。

Q4. 膵炎の予防はできますか?

A. 低脂肪食、適正体重の維持、人間の食べ物を与えない——これらを徹底すれば、かなり予防できます。

Q5. 膵炎になると、もうおやつは一生食べられない?

A. 市販の高脂肪おやつはNGですが、茹でたささみ(極少量)や、膵炎対応の低脂肪おやつなら可能です。詳しくは獣医師に相談を。


まとめ:SOSに気づけるのは、飼い主さんだけです

愛犬は、人間のように「お腹が痛い」と言葉で伝えることができません。

「祈りのポーズ」は、彼らの精一杯のSOSです。

獣医師として、10年以上の臨床現場で何度も見てきました。

「もっと早く連れてくれば…」

そんな言葉を、一度でも多く減らしたい。その思いで、この記事を書きました。

もし今、あなたの愛犬が、

  • 祈りのポーズをしている
  • 震えている
  • 嘔吐を繰り返している
  • 食べない

こんな症状があるなら、今すぐ動物病院に連絡してください。

そして、無事に回復したら、二度と同じ痛みを経験させないために、食事管理を徹底してください。

▼ 獣医師が厳選した「再発を防ぐ低脂肪フードランキング」はこちら

膵炎は、早期発見と正しい食事管理で、コントロールできる病気です。

愛犬の命を守れるのは、あなただけです。

一緒に頑張りましょう。

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