太りやすい猫に”ダイエットフード”が必要な理由
猫の肥満は、見た目の問題だけではありません。臨床現場で10年以上診療を続けてきた獣医師として、肥満が原因で深刻な健康被害を抱える猫たちを数多く見てきました。
肥満猫が抱えるリスクは想像以上に深刻です。糖尿病の発症リスクは正常体重の猫の約4倍に跳ね上がり、インスリン療法が必要になるケースも少なくありません。また、過剰な体重は関節に負担をかけ、変形性関節症や椎間板ヘルニアを引き起こします。特に高齢猫では、痛みで動けなくなり、さらに運動量が減って悪循環に陥ることも。
心血管系への影響も見逃せません。肥満による高血圧は心臓に負担をかけ、心筋症のリスクを高めます。さらに、脂肪肝(肝リピドーシス)は猫特有の深刻な疾患で、急激な食欲不振から数日で発症することもあります。
特に注意が必要なのは、避妊・去勢手術後の猫です。ホルモンバランスの変化により基礎代謝が約30%低下するため、同じ量のフードを与え続けるだけで確実に太ります。また、中高齢猫は若い頃と比べて活動量が減少し、筋肉量も低下するため、カロリー消費が落ちて脂肪が蓄積しやすくなります。
獣医師として強調したいのは、「太っているけど元気だから大丈夫」という考えは危険だということ。猫は痛みや不調を隠す動物です。症状が表に出たときには、すでに病気がかなり進行しているケースがほとんどです。
適切なダイエットフードへの切り替えは、これらのリスクを大幅に軽減します。ただし、極端なカロリー制限は筋肉量の減少や栄養不足を招くため、高たんぱく・低脂質・適度な食物繊維という栄養バランスが重要です。
ダイエットキャットフードの正しい選び方(獣医師目線)
チェックすべき成分(カロリー、脂質、たんぱく質、繊維)
ダイエットフード選びで最も重要なのは、単にカロリーが低いだけでなく、猫の健康を維持できる栄養バランスが整っているかという点です。
カロリーは100gあたり320〜360kcal程度が理想的です。これより極端に低いと、必要な栄養素まで不足する恐れがあります。通常の成猫用フードが370〜400kcal程度であることを考えると、約10〜20%のカロリーカットが適切な範囲です。
たんぱく質は最低でも30%以上、理想は35%以上を確保したいところ。猫は完全肉食動物であり、筋肉量を維持しながら体重を落とすには、良質な動物性たんぱく質が不可欠です。たんぱく質が不足すると、脂肪ではなく筋肉が落ちてしまい、基礎代謝がさらに低下して痩せにくい体質になってしまいます。
脂質は8〜12%程度に抑えるのが目安です。脂質は1gあたり9kcalと高カロリーなため、ダイエットには制限が必要ですが、必須脂肪酸の供給源でもあるため、極端に減らすと皮膚や被毛の状態が悪化します。
食物繊維は3〜7%程度含まれていると、満腹感を得やすくなります。ただし、過剰な繊維は消化吸収を妨げ、便の量が増えすぎることもあるため、適度な配合が重要です。
NGになりがちなフードの特徴
臨床現場でよく見かける「ダイエットの落とし穴」を紹介します。
まず、安価なダイエットフードの多くは、穀物や炭水化物で嵩増しをしてカロリーを下げています。小麦やトウモロコシが主原料のフードは、血糖値を急上昇させ、かえって空腹感を招きやすく、長期的なダイエットには不向きです。
また、動物性たんぱく質の質が低いフードも要注意です。「ミートミール」「家禽副産物」など、具体的な肉の種類が不明な原材料は、消化吸収率が低く、猫の体に負担をかけることがあります。
意外と見落とされがちなのが、おやつの存在です。1日の総カロリーの10%以内に抑えるのが鉄則ですが、市販の猫用おやつは少量でも高カロリーなものが多く、これだけで1日分のカロリーオーバーになることも。ダイエット中は、おやつを与えるならフードの粒を数粒使うなどの工夫が必要です。
体重管理の基本(給与量、運動、定期的な体重測定)
ダイエットの成功には、フードの選択だけでなく、正しい与え方が不可欠です。
給与量は、必ずパッケージに記載されている目標体重に基づいた量を守ること。現在の体重ではなく、理想体重(BCS3/5程度の適正体重)に対する給与量を計算します。例えば、現在6kgで理想体重が4.5kgの猫なら、4.5kgの猫に必要なカロリーを与えます。
1日2回以上の分割給与も重要です。1回にまとめて与えると血糖値が急上昇し、余ったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。理想は1日3〜4回に分けることですが、難しい場合は朝晩2回でも構いません。
運動量の確保は、室内飼いの猫には特に重要です。猫じゃらしで1日10〜15分遊ぶ、キャットタワーを設置して上下運動を促すなど、日常的に体を動かす習慣をつけましょう。ただし、関節に問題がある肥満猫には無理な運動は禁物です。
週1回の体重測定で進捗を確認します。健康的な減量ペースは、週に体重の0.5〜1%程度。5kgの猫なら週に25〜50g、月に100〜200g程度の減少が理想です。これより急激な減量は、筋肉量の減少や脂肪肝のリスクを高めます。
体重が全く減らない場合は、隠れたカロリー摂取源(家族が勝手にあげるおやつ、人間の食べ物の盗み食いなど)がないか確認し、必要に応じて給与量をさらに10%程度減らします。逆に、体重が減りすぎている場合は、速やかに給与量を増やして調整してください。
獣医師おすすめ・ダイエットキャットフードランキング8選

臨床経験と栄養学的知見に基づき、本当におすすめできるダイエットキャットフードを厳選しました。それぞれの特徴と、どんな猫に向いているかを詳しく解説します。
第1位:モグニャンキャットフード ライト
こんな猫におすすめ:
- 魚が大好きで食いつきを重視したい
- 避妊・去勢後で体重が増え始めた成猫
- プレミアムフードで確実に結果を出したい
- 小分けパックで新鮮さを保ちたい
栄養成分・特徴:
モグニャンライトは、ダイエットフードでありながら「食いつきの良さ」を妥協しない設計が最大の特徴です。
原材料の53%以上を魚が占め、カツオ30%+乾燥マグロ23%という贅沢な配合により、部屋中に広がる魚の香りが食欲をそそります。獣医師として診療の中で多くの飼い主さんから「ダイエットフードに変えたら食べなくなった」という相談を受けますが、モグニャンライトはこの問題を解決する数少ないフードの一つです。
カロリーは100gあたり347.3kcalと、通常のモグニャンと比べて約10%カット。極端な低カロリー設計ではないため、猫の体に負担をかけずに緩やかな減量が可能です。
たんぱく質は37%としっかり確保されており、筋肉量を維持しながら脂肪を落とせます。脂質は9%以上とやや控えめで、カロリーコントロールに貢献しています。
食物繊維が豊富に含まれているため、満腹感を得やすく、ダイエット中のストレスを軽減します。さらに、グレインフリー(穀物不使用)設計なので、穀物アレルギーのある猫や、血糖値の急上昇を避けたい猫にも適しています。
250g小分けパッケージの利点:
酸化は猫の健康にとって大敵です。開封後時間が経つと、脂質が酸化して風味が落ち、栄養価も低下します。モグニャンライトは1.5kgを250gずつ小分けにしているため、常に新鮮な状態で与えられます。食いつきが落ちにくく、最後まで美味しく食べてくれるという声が多いのも納得です。
実際の使用者の声:
「通常のダイエットフードは匂いが薄くて食べてくれなかったのに、モグニャンライトは袋を開けた瞬間から食いつきが違った」「小分けなので、多頭飼いでも使いやすく、それぞれの猫に新鮮なフードをあげられる」「3ヶ月で500g減量できて、獣医さんにも褒められた」といった口コミが多く見られます。
価格帯:
プレミアムフードの価格帯ですが、250g小分けで品質が保たれる点、食いつきの良さで無駄なく食べてくれる点を考慮すると、コストパフォーマンスは高いと言えます。確実に結果を出したい、愛猫に良質なものを与えたいという飼い主さんには、投資する価値のあるフードです。
第2位:カナガンキャットフード
こんな猫におすすめ:
- チキンアレルギーがある
- 皮膚や被毛の状態も改善したい
- オメガ3脂肪酸を積極的に摂取したい
栄養成分・特徴:
サーモンを主原料とし、たんぱく質37%、脂質10.6%とダイエットに適したバランス。100gあたり約355kcalで、カロリーコントロールが可能です。
サーモンに含まれるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、抗炎症作用があり、関節の健康維持にも貢献します。肥満猫は関節に負担がかかりやすいため、この点は大きなメリットです。
グレインフリーで、サツマイモやエンドウ豆などの消化に良い炭水化物源を使用。血糖値の急上昇を抑え、満腹感も持続します。
注意点:
魚の香りが強いため、魚が苦手な猫には向きません。また、サーモンアレルギーのある猫も稀にいるため、初めて与える際は少量から試してください。
第3位:ピュリナワン メタボリック エネルギーコントロール(コスパ重視)
こんな猫におすすめ:
- コストを抑えつつダイエットしたい
- 近所のペットショップで手軽に購入したい
- 多頭飼いでフード代がかさむ
栄養成分・特徴:
たんぱく質40%以上、脂質8%以上と、ダイエット向けとして理想的な栄養バランス。100gあたり約330kcalと低カロリーで、確実なカロリーコントロールが可能です。
L-カルニチンを配合しており、脂肪の代謝をサポート。また、天然の食物繊維が豊富で、満腹感を維持しやすい設計です。
価格面での優位性:
1kg1,000円前後と、プレミアムフードの半額以下。長期的なダイエットを続けやすい価格帯です。
注意点:
主原料にチキンミールを使用しており、新鮮な肉を使ったプレミアムフードと比べると原材料の質は劣ります。ただし、ピュリナの品質管理は信頼性が高く、コスパを重視するなら十分な選択肢です。
第4位:ロイヤルカナン ライトウェイトケア(獣医師推奨率No.1)
こんな猫におすすめ:
- 動物病院で勧められたフードを試したい
- 実績と信頼性を重視する
- 中程度の肥満から始めたい
栄養成分・特徴:
たんぱく質39%、脂質9.5%、100gあたり約340kcal。サイリウムなどの食物繊維を豊富に配合し、満腹感を長時間維持します。
ロイヤルカナンは世界中の獣医師に支持されており、臨床データも豊富。減量効果が科学的に検証されている点が強みです。
独自の「キブル形状」により噛む回数が増え、早食い防止と満足感の向上につながります。
注意点:
穀物(トウモロコシなど)を使用しているため、グレインフリーにこだわる飼い主さんには不向き。また、価格はやや高めです。
第5位:ヒルズ サイエンス・ダイエット 避妊・去勢後用(術後すぐから使える)
こんな猫におすすめ:
- 避妊・去勢手術直後から体重管理を始めたい
- まだ肥満ではないが予防したい
- 療法食に近い安心感が欲しい
栄養成分・特徴:
避妊・去勢後の代謝変化に特化した設計で、たんぱく質33.9%、脂質8.7%、カロリーは100gあたり約343kcal。
ビタミンEとオメガ3・6脂肪酸をバランス良く配合し、免疫力と皮膚の健康をサポート。術後のケアにも配慮されています。
ヒルズは療法食で有名なメーカーであり、品質管理の信頼性は非常に高いです。
注意点:
すでに重度の肥満になっている猫には、カロリーカットがやや物足りない可能性があります。あくまで「予防〜軽度肥満」向けです。
第6位:ジャガーキャットフード(高たんぱく・グレインフリー)
こんな猫におすすめ:
- 筋肉質な体型を維持したい
- 活動量が多めの猫
- 複数の動物性たんぱく源を摂取したい
栄養成分・特徴:
チキン、鴨、サーモン、マスなど複数の肉・魚を使用し、たんぱく質40%と非常に高配合。脂質は14%とやや高めですが、その分満足感があり、少量で栄養を満たせます。
100gあたり約387kcalとカロリーは高めですが、給与量を適切に管理すれば、筋肉量を維持しながら脂肪を落とすことが可能です。
クランベリーやブルーベリーなどのスーパーフードを配合し、抗酸化作用も期待できます。
注意点:
高カロリーなため、給与量の管理が重要。活動量の少ない猫や高齢猫には不向きな場合があります。
第7位:アランズナチュラルキャットフード(シンプル設計・アレルギー対応)
こんな猫におすすめ:
- 食物アレルギーがある、または疑いがある
- 添加物を極力避けたい
- シンプルな原材料のフードを探している
栄養成分・特徴:
チキン、ターキー、サーモンなど、わずか9種類の厳選された原材料のみを使用。人工添加物、着色料、香料は一切不使用です。
たんぱク質37%、脂質11%、100gあたり約378kcalと、ダイエットにも使える栄養バランス。
原材料がシンプルなため、アレルゲンの特定もしやすく、除去食としても活用できます。
注意点:
やや高価格帯。また、香りが控えめなため、嗜好性の強い猫には食いつきが悪い可能性があります。
第8位:ニュートロ ナチュラルチョイス 減量用
こんな猫におすすめ:
- バランスの取れた標準的なダイエットフードを探している
- 特別なこだわりはないが、一定の品質は確保したい
- 中価格帯で続けやすいフードが良い
栄養成分・特徴:
チキンを主原料に、たんぱく質33%、脂質9%、100gあたり約330kcalと、ダイエット向けとして基本を押さえた設計。
ビートパルプやオーツ麦などの食物繊維源を配合し、適度な満腹感を提供します。
自然由来の抗酸化成分を含み、免疫の健康維持もサポート。
注意点:
特筆すべき特徴がない反面、大きな欠点もない「優等生」タイプ。他のフードで食いつきが悪かった場合の選択肢として検討すると良いでしょう。
療法食と市販ダイエットフードの違い
獣医師としてよく受ける質問の一つが、「動物病院の療法食と市販のダイエットフード、どちらを選べばいいの?」というものです。
療法食(処方食)とは:
療法食は、特定の疾患を管理するために栄養バランスが調整されたフードです。減量用療法食の代表例としては、ロイヤルカナンの「満腹感サポート」やヒルズの「メタボリックス」などがあります。
これらは極端にカロリーを抑え(100gあたり250〜300kcal程度)、食物繊維を大幅に増やすことで、少ない量でも満腹感を得られるよう設計されています。
市販ダイエットフードとは:
市販のダイエットフードは、療法食ほど極端ではなく、カロリーを10〜20%程度カットし、たんぱく質や必須栄養素はしっかり確保しています。健康な猫の体重管理に適しています。
どう使い分けるべきか:
獣医師として、以下のような判断基準をおすすめしています。
療法食を推奨するケース:
- BCS(ボディコンディションスコア)が5/5で重度の肥満
- すでに肥満関連疾患(糖尿病、関節疾患など)を発症している
- 市販フードでダイエットを試したが効果がなかった
- 獣医師の指導のもと、計画的に短期間で減量したい
市販ダイエットフードでOKなケース:
- BCSが3.5〜4/5程度の軽度〜中度の肥満
- まだ健康上の問題は出ていない
- 避妊・去勢後の体重増加の予防
- 緩やかに、ストレスをかけずに減量したい
重要なのは、療法食はあくまで「治療の一環」であり、獣医師の指導のもとで使用すべきだということ。自己判断で療法食を使い続けると、栄養バランスが崩れるリスクもあります。
逆に、市販のダイエットフードで十分な効果が出ているなら、無理に療法食に切り替える必要はありません。定期的に体重測定と健康チェックを行い、必要に応じて獣医師に相談するスタンスが理想的です。
私の臨床経験では、軽度〜中度の肥満であれば、モグニャンライトのような高品質な市販ダイエットフードと適切な給与量管理で、十分に成果を出せるケースがほとんどです。
ダイエットを失敗させない与え方のコツ
どんなに優れたダイエットフードを選んでも、与え方が間違っていれば効果は出ません。臨床現場で見てきた「成功する飼い主さん」と「失敗する飼い主さん」の違いは、実はちょっとした日々の習慣にあります。
フード切り替えの正しい手順:
急なフード変更は、下痢や嘔吐の原因になります。以下の7日間プログラムで徐々に切り替えてください。
- 1〜2日目:新フード25% + 旧フード75%
- 3〜4日目:新フード50% + 旧フード50%
- 5〜6日目:新フード75% + 旧フード25%
- 7日目〜:新フード100%
敏感な胃腸の猫は、10〜14日かけてゆっくり切り替えるとより安全です。
1日の給与量調整のリアルな方法:
パッケージの給与量はあくまで目安です。以下のステップで、愛猫に最適な量を見つけましょう。
- まず、理想体重に基づいた給与量からスタート
- 2週間後に体重を測定
- 体重が減っていなければ、給与量を10%減らす
- さらに2週間後に再測定し、調整を繰り返す
例えば、理想体重4.5kgの猫で、パッケージが「60g/日」と記載していても、実際には50g/日で適切な減量ペースになることもあります。個体差があるため、必ず実際の体重変化を見ながら調整してください。
体重減少ペースの目安:
健康的な減量スピードは、現在の体重の0.5〜1%/週です。
- 5kgの猫:週に25〜50g、月に100〜200g
- 6kgの猫:週に30〜60g、月に120〜240g
これより早く痩せている場合は、筋肉が落ちている可能性があるため、給与量を増やしてください。逆に全く痩せない場合は、隠れたカロリー摂取源を探すか、給与量をさらに減らします。
多頭飼いでの工夫:
多頭飼いの場合、ダイエット中の猫が他の猫のフードを食べてしまう問題があります。以下の対策が有効です。
- 食事時間を分けて、別々の部屋で与える
- 自動給餌器を活用し、マイクロチップで個体識別する
- 高い場所と低い場所で食事場所を分ける(ダイエット猫は低い場所)
- 食事の時間を決め、残したフードは片付ける
おやつの与え方のルール:
ダイエット中でも、おやつは完全に禁止する必要はありません。ただし、1日の総カロリーの10%以内に抑えるのが鉄則です。
おすすめの方法:
- ダイエットフードの粒を数粒、おやつ代わりに与える
- ゆでた鶏ささみや白身魚を小さくカットして与える(1回5g程度)
- 市販のおやつは、カロリー表示を確認し、最小限に
NG行動:
- 「可哀想だから」と規定量以上に与える
- 家族がバラバラにおやつを与え、総量が把握できていない
- 人間の食べ物を与える(調味料や脂質が多く、少量でも高カロリー)
運動習慣の作り方:
猫は犬のように散歩で運動させることができないため、室内での工夫が必要です。
効果的な運動方法:
- 猫じゃらしで1日10〜15分、全力で走らせる遊びを2セット
- フードを隠して「宝探し」をさせる(探索行動で運動量アップ)
- キャットタワーの最上段にフードを置き、上下運動を促す
- 自動で動くおもちゃを活用する
注意点として、肥満猫は関節に負担がかかっているため、いきなり激しい運動をさせるのは禁物です。最初は軽い遊びから始め、徐々に運動量を増やしてください。
記録の重要性:
ダイエットの成功には、データの記録が不可欠です。スマホのメモアプリや専用の猫健康管理アプリを使い、以下を記録しましょう。
- 毎週の体重(できれば同じ曜日、同じ時間帯)
- 1日の給与量
- おやつの種類と量
- 便の状態(下痢、便秘がないか)
- 活動量の変化
記録を続けることで、体重が減らない時期に「何が原因か」を客観的に振り返ることができます。また、獣医師に相談する際にも、これらのデータがあると的確なアドバイスが得られます。
停滞期の乗り越え方:
ダイエットを続けていると、必ず「体重が減らなくなる停滞期」が訪れます。これは体が飢餓状態と判断し、代謝を落として体重を維持しようとするためです。
停滞期の対処法:
- 焦らず、現在の給与量を2〜3週間続ける(多くの場合、その後再び減り始めます)
- 運動量を少し増やしてみる
- フードの種類を変えてみる(代謝が刺激されることがあります)
- それでも1ヶ月以上変化がなければ、給与量をさらに5〜10%減らす
家族全員での協力体制:
ダイエットが失敗する最大の原因は、「家族の誰かが隠れて食べ物を与えている」ケースです。
家族全員で以下のルールを共有しましょう:
- フードを与えるのは1人だけ(担当制にする)
- おやつを与えたら必ず記録する
- 猫が欲しがっても、決められた量以外は与えない
- 人間の食事中は、猫を別室に移動させる
特に高齢の家族や子供がいる家庭では、「可哀想だから少しだけ」という善意が、ダイエットを妨げることがあります。ダイエットの目的(健康で長生きしてもらうため)を全員で共有し、協力体制を作ることが成功の鍵です。
よくある質問Q&A
Q1:太っているけど元気だから様子見でいい?
A:いいえ、早めの対策が必要です。
獣医師として最も危惧するのが、この「様子見」の考え方です。猫は痛みや不調を隠す動物であり、「元気そうに見える」だけで健康とは限りません。
実際の臨床例をお話しします。8歳、体重7kgの避妊メス猫が「食欲もあるし元気だから大丈夫」と飼い主さんが言っていたケースです。しかし血液検査をすると、血糖値が高く糖尿病の一歩手前でした。もし1年後に来院していたら、インスリン注射が必要になっていたかもしれません。
肥満は「緩やかに進行する病気」です。今は症状が出ていなくても、関節、心臓、肝臓には確実に負担がかかっています。早めに対策を始めれば、それだけ健康寿命を延ばせます。
BCS(ボディコンディションスコア)が4/5以上なら、今すぐダイエットを始めることをおすすめします。
Q2:ライトフードに変えたのに痩せない理由は?
A:最も多い原因は「給与量が多すぎる」ことです。
ダイエットフードに変えただけで安心してしまい、給与量を減らしていないケースが非常に多く見られます。ダイエットフードは通常フードより10〜20%カロリーが低いだけなので、同じ量を与えていれば減量効果は限定的です。
チェックすべきポイント:
- 給与量の計算ミス
- 現在の体重ではなく、理想体重に基づいた量を与えていますか?
- 1日の総量を正確に計量していますか?(目分量はNG)
- 隠れたカロリー摂取
- 家族が勝手におやつを与えていませんか?
- 他の猫のフードを盗み食いしていませんか?
- 人間の食べ物を与えていませんか?
- 運動量の不足
- 1日中寝てばかりで、全く動いていませんか?
- 遊ぶ時間を確保していますか?
- 病気の可能性
- 甲状腺機能低下症などの代謝性疾患がある場合、痩せにくくなります
- 1ヶ月以上適切なダイエットを続けても全く変化がない場合は、動物病院で血液検査を受けることをおすすめします
Q3:シニア猫でもダイエットしてよい?
A:むしろシニア猫こそダイエットが必要です。ただし、慎重に進めましょう。
シニア猫(7歳以上)の肥満は、若い猫以上に深刻な健康リスクを伴います。関節疾患、糖尿病、心疾患のリスクが高まり、生活の質が大きく低下します。
ただし、シニア猫のダイエットには特別な配慮が必要です。
シニア猫ダイエットの注意点:
- 筋肉量の維持を最優先に
- シニア猫は筋肉が落ちやすいため、高たんぱく質(35%以上)のフードを選ぶ
- 急激な減量は筋肉を減らすだけなので、減量ペースは週に0.5%以下に抑える
- 腎臓の健康チェック
- シニア猫の多くは慢性腎臓病を抱えています
- ダイエット開始前に血液検査で腎機能を確認し、たんぱく質制限が必要かを獣医師と相談
- 関節への配慮
- 肥満で関節炎がある場合、無理な運動は禁物
- サプリメント(グルコサミン、コンドロイチンなど)の併用も検討
- キャットタワーの高さを調整し、低い段から始める
- 食欲の変化に注意
- シニア猫は味覚や嗅覚が衰えるため、食いつきが落ちることがあります
- モグニャンライトのような香り高いフードは、シニア猫の食欲維持にも有効
推奨される進め方:
まず動物病院で健康チェックを受け、獣医師と相談しながらダイエット計画を立てましょう。シニア猫の場合、自己判断でのダイエットはリスクが高いため、必ず専門家の指導を受けることをおすすめします。
Q4:多頭飼いでダイエットさせるコツは?
A:食事の管理を個別化することが鍵です。
多頭飼いでは、ダイエット中の猫が他の猫のフードを食べてしまう、あるいは痩せている猫がダイエットフードを食べて栄養不足になるという問題が起こります。
実践的な解決策:
- 物理的に隔離する
- 食事時間は別々の部屋で与える
- ケージを活用して、それぞれの食事場所を確保
- 食事時間を決める
- 置きエサをやめ、決まった時間に必要量だけ与える
- 20〜30分経ったら残したフードも片付ける
- 高さを利用する
- 痩せている猫のフードは高い場所(キャットタワーの上など)に設置
- 肥満猫は高い場所に登れないため、自然と食べ分けができる
- 自動給餌器の活用
- マイクロチップで個体識別できる自動給餌器(例:SureFeed)を使用
- それぞれの猫が自分のフードしか食べられないように管理
- 見守りカメラの設置
- 留守中の盗み食いをチェック
- どの猫がどのフードを食べているか確認できる
Q5:ダイエットフードは一生続けるべき?
A:目標体重に達したら、体重維持用フードへの切り替えを検討しましょう。
ダイエットフードは、あくまで「減量期」に使用するフードです。目標体重に達したら、その体重を維持するための「体重管理用フード」に切り替えるのが理想的です。
切り替えのタイミング:
- 理想体重(BCS 3/5)に達した
- 獣医師から「適正体重」と判断された
- 体重が安定している状態が1ヶ月以上続いた
体重維持用フードの選び方:
ダイエットフードよりやや高カロリー(100gあたり350〜370kcal程度)で、たんぱく質はしっかり確保されているフードを選びます。モグニャンの通常版、カナガン、アランズなどが該当します。
切り替え後の注意点:
- 体重維持用フードに変えた後も、週1回は体重測定を続ける
- 体重が再び増え始めたら、すぐに給与量を調整する
- 年に1回は動物病院で健康チェックを受ける
ただし、避妊・去勢済みで太りやすい体質の猫や、中高齢猫の場合は、ダイエットフードを継続しても問題ありません。モグニャンライトのように栄養バランスが優れたフードなら、長期使用でも健康を維持できます。
Q6:食いつきが悪くて食べてくれない時は?
A:無理に食べさせず、段階的に工夫してみましょう。
ダイエットフードは嗜好性が低いものも多く、食べてくれないという悩みはよくあります。
試してほしい対策:
- 温めて香りを引き出す
- フードを40℃程度のお湯で少し湿らせる
- 電子レンジで5〜10秒温める(温めすぎ注意)
- 魚やチキンの香りが強まり、食いつきが改善することが多い
- トッピングを活用
- ゆでた鶏ささみ、マグロの水煮(少量)を混ぜる
- 猫用ふりかけ(カツオ節など)を少量振りかける
- ただし、トッピングは全体の10%以内に抑える
- 徐々に慣れさせる
- 最初は旧フードに少量だけ混ぜる
- 2週間かけてゆっくり比率を変えていく
- フードを変える
- どうしても食べない場合は、別のダイエットフードを試す
- モグニャンライトは魚の香りが強く、食いつきが良いと評判
やってはいけないこと:
- 食べないからと、すぐに旧フードに戻す(猫が「我慢すれば好きなフードがもらえる」と学習してしまう)
- 何種類ものトッピングを大量に混ぜる(カロリーオーバーになる)
24時間以上全く食べない場合は、脂肪肝のリスクがあるため、すぐに動物病院に相談してください。
まとめ:愛猫の健康的なダイエットのために
猫の肥満は、見た目だけの問題ではなく、寿命と生活の質に直結する重要な健康問題です。獣医師として10年以上の臨床経験の中で、適切なダイエットによって元気を取り戻し、生活の質が向上した猫たちを数多く見てきました。
ダイエット成功の3つの柱:
- 適切なフード選び
- 高たんぱく・低脂質・適度な食物繊維のバランス
- 食いつきが良く、長続きできるもの
- モグニャンライトのような高品質なフードは、結果を出しやすい
- 正確な給与量管理
- 理想体重に基づいた計算
- 計量と記録の徹底
- 隠れたカロリー摂取の排除
- 継続的なモニタリング
- 週1回の体重測定
- 給与量の柔軟な調整
- 定期的な獣医師チェック
ダイエットは一朝一夕で結果が出るものではありません。しかし、正しい方法で続けられれば、必ず成果は現れます。焦らず、愛猫のペースで、健康的な減量を目指しましょう。
この記事が、愛猫の健康長寿のお役に立てれば幸いです。何か心配なことがあれば、遠慮なく獣医師に相談してください。あなたの愛猫が理想的な体型を取り戻し、活き活きとした生活を送れることを願っています。
※本記事の情報は一般的なアドバイスであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。愛猫の健康状態に不安がある場合は、必ず獣医師の診察を受けてください。

