冬の朝、愛犬の足取りが重かったり、体を小刻みに震わせていたりしませんか?
暖房をつけても、愛犬が寒そうにしている。夏は夏で、「エアコンをつけっぱなしにして電気代が…」と悩みながらも、「もし熱中症になったら」と不安で外出できない。春と秋は、日中は暖かいのに夜は冷え込み、「この寒暖差、大丈夫なのかな?」と心配になる。
腎臓病と診断されてから、あなたは季節の変わり目のたびに、こんな不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
私はDr.サク、臨床経験10年以上の現役獣医師です。この10年以上、私は何百頭もの腎臓病の犬たちを診てきました。そして、その中で何度も目撃してきたことがあります。それは、「季節の変わり目、特に冬に入ると、腎臓の数値が急激に悪化して来院する子が後を絶たない」という現実です。
まず、あなたに知っていただきたい厳しい事実があります。
腎臓病の犬にとって、寒暖差は「毒物」と同じくらい危険です。
これは大げさではありません。寒さによる血管収縮は、腎臓への血流を減少させ、残されたわずかなネフロン(腎臓の濾過ユニット)にさらなるダメージを与えます。逆に、夏の脱水は腎臓を一気に末期へと追い込みます。
でも、安心してください。適切な温度管理さえできれば、これらのリスクは大幅に減らせます。温度管理は、どんな薬よりも、どんなサプリメントよりも、確実に愛犬の腎臓を守る「基礎中の基礎」なのです。
この記事では、冬・夏・春秋、それぞれの季節で「具体的に何度に設定すべきか」「どんなグッズが本当に役立つのか」を、臨床10年以上の経験を込めて詳しくお伝えします。
この記事を最後まで読んでいただければ、明日から温度計を見る目が変わり、愛犬の寝床の環境を「腎臓を守る要塞」に変えることができるはずです。
365日、安心して愛犬を見守れる日々を、今日から始めましょう。
※本記事をお読みになられる前に、愛犬のステージや病気の全体像を正しく理解しておくことも大切です。
⬇️ 【獣医師監修】犬の腎臓病の初期症状・ステージ別余命・最新治療の完全ガイド]
この記事の著者・監修者:Dr.サク(臨床10年以上)
現役の獣医師、都内動物病院に勤務。腎臓病を中心に、食事療法で数多くの犬の健康寿命を延ばしてきた実績を持つ。専門的な医学的知見に基づき、愛犬に本当に必要なフードを厳選しています。
なぜ「寒さ」が腎臓病を悪化させるのか?──医学的メカニズムを知る
まず、なぜ寒さが腎臓病にとって「危険」なのか、そのメカニズムを正確に理解しましょう。
寒さ → 血管収縮 → 血圧上昇 → 腎臓へのダメージ
人間でもそうですが、犬も寒さを感じると、体温を保つために体表の血管を収縮させます。これは生理的な防御反応です。
しかし、血管が収縮すると、血液が流れにくくなり、血圧が上昇します。そして、高血圧は腎臓にとって最大の敵の一つです。
腎臓の糸球体(ネフロン内の毛細血管の塊)は、非常に繊細な構造をしています。高血圧によって過剰な圧力がかかると、この糸球体が傷つき、濾過機能がさらに低下します。
つまり、寒さ → 血管収縮 → 血圧上昇 → 腎臓のネフロンへのダメージという悪循環が起こるのです。
私の診察室でも、冬になると「クレアチニン値が急に上がった」という患者さんが増えます。飼い主さんに「最近、寒かったですよね?」と尋ねると、「そういえば、朝晩冷え込んでいました」という答えが返ってきます。
たった数日の冷え込みでも、腎臓の数値は変動します。それほど、温度管理は重要なのです。
高齢犬が体温調節できなくなる理由
もう一つ重要なのが、腎臓病の犬の多くは高齢であるという事実です。
若い犬は、自律神経が正常に働き、寒ければ震えて熱を作り、暑ければパンティング(ハァハァと呼吸)して体温を下げることができます。
しかし、高齢犬は:
- 筋肉量が減少しているため、熱を作る能力が低い
- 自律神経の機能が衰え、体温調節がうまくできない
- 毛艶が悪くなり、被毛の保温性が低下している
つまり、若い頃のように「寒ければ震えて温まる」ということができなくなっているのです。だからこそ、飼い主さんが環境を整えてあげる必要があります。
【冬編】腎臓を守るための「絶対条件」と、獣医師が推奨する神グッズ
それでは、具体的に冬の寒さ対策をお伝えします。
絶対条件①:室温は20~24℃を死守する
腎臓病の犬にとって、理想的な室温は20~24℃です。これは「快適」というレベルではなく、「腎臓への負担を最小限にする温度」です。
特に注意すべきは、夜間と早朝です。暖房を切って寝ると、室温が一気に10℃以下になることもあります。この急激な温度低下が、腎臓に大きなダメージを与えます。
推奨する対策:
- エアコンのタイマー機能を使い、夜中も暖房を稼働させる
- 愛犬の寝床付近に温度計を置き、常にチェックする
- 「人間が少し暑いかな」と感じるくらいが、犬にはちょうど良い
絶対条件②:湿度は40~60%を保つ
冬は乾燥しやすく、湿度が30%以下になることも珍しくありません。乾燥は、気道の粘膜を傷つけ、感染症のリスクを高めます。腎臓病の犬は免疫力が低下しているため、風邪や気管支炎をきっかけに一気に悪化することがあります。
推奨する加湿器:
👉 象印加湿器2.2L
しっかり室内を加湿してくれる加湿器です、安定した湿度を維持できます。
神グッズ①:ペット用ホットカーペット・湯たんぽ
愛犬の寝床を「局所的に暖める」ことも重要です。
推奨するペット用ヒーター:
👉 ペット用ホットカーペット
両面使えるタイプで、温度が選べる。小型犬~中型犬に最適。
【重要】必ず「逃げ道」を作る
ヒーターや湯たんぽを置く際、愛犬が「暑い」と感じたときに逃げられるスペースを必ず確保してください。ヒーターで寝床全体を覆ってしまうと、熱中症や低温やけどのリスクがあります。
理想は、寝床の「半分だけ」をヒーターで暖め、もう半分は常温のままにすることです。
神グッズ②:犬用の服・ブランケット
特に小型犬や短毛種は、体温が逃げやすいため、服やブランケットが有効です。
推奨する犬用防寒服:
👉 ペット用あったかブランケット
軽くて暖かい。寝床にかけるだけで体温を保持。
ただし、服を着せっぱなしにしないことも大切です。皮膚が蒸れて炎症を起こすことがあるため、1日に数回は脱がせて、皮膚の状態をチェックしてください。
【夏編】脱水と熱中症を未然に防ぐ──腎臓病の子が「一発で末期」にならないために
冬の寒さも怖いですが、夏の暑さはさらに危険です。なぜなら、腎臓病の犬が熱中症になると、一気に末期へと進行するからです。
なぜ腎臓病の犬は熱中症になりやすいのか?
腎臓病の犬は、尿を濃縮する力が弱く、常に脱水のリスクにさらされています。夏の暑さで体温が上がると、さらに水分が失われ、血液がドロドロになり、腎臓への血流が悪化します。
その結果、残されたネフロンが一気に壊れ、数日でステージ2からステージ4へ進行することも珍しくありません。
私の診察室でも、夏に「ぐったりしている」と来院し、血液検査をしたらクレアチニン値が10mg/dL以上(末期)になっていた、という悲しいケースを何度も見てきました。
絶対条件:24時間エアコン稼働が「必須」
「電気代が…」と思う気持ちは分かります。でも、腎臓病の犬にとって、夏のエアコンは命綱です。
推奨する室温:
- 26~28℃(人間には少し暑いと感じる温度)
- エアコンの風が直接当たらない場所に寝床を配置
- 除湿機能も併用し、湿度を50~60%に保つ
「冷やしすぎ」も危険です。エアコンの設定温度が低すぎると、体が冷えて食欲が落ち、結果的に体力が低下します。
神グッズ③:クールマット・冷感ベッド
エアコンだけでなく、愛犬が「接触冷感」で涼を感じられるグッズも有効です。
推奨するクールマット:
👉 ペット用ひんやりベット
天然石で冷たく、耐久性抜群。噛んでも壊れない安心感。
水分補給の工夫
夏は、「飲みたい時にいつでも水が飲める環境」を整えることが最重要です。
- 水飲み場を複数設置(リビング、寝室など)
- 水に鶏ささみの茹で汁を少量混ぜて、飲みたくなる香りをつける
- フードを水でふやかして、食事から水分を摂取
【盲点】春と秋の「寒暖差」による急変を防ぐコツ
多くの飼い主さんが見落としているのが、春と秋の「寒暖差」です。
日中25℃、夜中10℃──この15℃の差が腎臓を壊す
春や秋は、日中は暖かくても、夜になると一気に冷え込みます。この1日の温度差が10℃以上になると、腎臓への負担が急増します。
私が推奨するのは、1日の温度差を5℃以内に抑えることです。
具体的な対策:
- 夕方から暖房をつけ始め、夜間も稼働させる
- 朝方が最も冷えるため、タイマーで暖房を早朝に稼働させる
- 愛犬の寝床に温度計を置き、「最低気温」を記録する
温度計は「愛犬の寝床の高さ」に置く
ここで重要なプロのアドバイスがあります。
温度計は、人間の目線ではなく、愛犬の寝床の高さに置いてください。
床付近は、人間が感じる室温よりも2~3℃低いことが多いです。「エアコンで24℃に設定しているから大丈夫」と思っていても、愛犬がいる床面は21℃だった、ということがよくあります。
私の診察室での実話:冬の温度管理で数値が安定したトイプードルの話
ここで、私が担当したトイプードルのモモちゃん(仮名)のお話をさせてください。
モモちゃんは13歳で腎臓病(ステージ2)と診断されました。最初の冬、飼い主さんは「節電のため」と夜は暖房を切って寝ていました。
12月の再診で、クレアチニン値が1.8から2.9へ急上昇していました。飼い主さんは「食事も療法食に変えたのに、なぜ?」と困惑していました。
私は尋ねました。「夜、暖房はつけていますか?」
飼い主さんは答えました。「いえ、消して寝ています。電気代も気になりますし…」
私は説明しました。「モモちゃんの数値が悪化したのは、おそらく夜間の冷えが原因です。腎臓病の子にとって、寒さは薬以上に影響します」
飼い主さんは、その日から24時間エアコンをつけるようにしました。そして、ペット用ヒーターとブランケットも購入しました。
3ヶ月後、モモちゃんのクレアチニン値は2.1まで低下し、安定しました。飼い主さんは涙ながらに「温度管理だけで、こんなに変わるなんて思いませんでした」と言いました。
これが、温度管理の力です。
まとめ:温度計は愛犬の寝床の高さに置き、快適な環境で心と体を癒やしてあげてください
ここまで長い文章をお読みいただき、本当にありがとうございます。
最後に、獣医師として、そして一人の犬好きとして、あなたにお伝えしたいことがあります。
快適な環境は、どんな薬よりも、どんなサプリメントよりも、愛犬の心と体を癒やします。
腎臓病は確かに厳しい病気です。でも、温度管理という「基礎中の基礎」を徹底するだけで、数値の急激な悪化を防ぎ、穏やかな日々を長く保つことができます。
今日、まず一つだけ実践してください。愛犬の寝床の高さに温度計を置いてください。そして、その温度を毎日記録してください。それだけで、あなたの意識が変わり、愛犬の環境が劇的に改善します。
365日、安心して愛犬を見守れる日々を、今日から始めましょう。
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腎臓病ケアで最も大切なのは、病院では教えてくれない「自宅での具体的なアクション」です。
ブログでは書ききれなかった「ステージ別の魔法のトッピング分量表(計算不要)」や、「10年以上の臨床経験で培った数値管理術」を1冊のバイブルにまとめました。
私が診察室で30分かけてお話ししている内容のすべてを凝縮しています。
【獣医師推奨の温度管理グッズまとめ】
冬の必需品:
- 象印 スチーム式加湿器(Amazon)
- アイリスオーヤマ ペット用ホットカーペット(Amazon)
- 犬用フリースベスト(Amazon)
夏の必需品:
- ペットクールマット ジェルタイプ(Amazon)
- 大理石ペットマット(楽天)
通年必需品:
- デジタル温湿度計(寝床の高さに設置)



